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テレビ局からしてみるとバーター出演は比較的安い出演料で〝タレントのお試し〟ができるのと、芸能事務所への〝貸し〟にもなるのだ。またバーター出演でチャンスをつかんで人気者になるタレントもいるので、バーター出演は一概にネガティブなものだ、とは言えない。
ただしそれは、バーターで出るタレントに番組サイドから見ても「何らかの魅力」があることが前提である。「バーターだけど、別のコーナーで身体張ってもらうと面白いかも」「スタイル良いからグッズ紹介時に全身映すと良いかも」など、番組もせっかくの若いタレントを活かすように考えるのだ。
ところがそのA子さんには、「何も、なかった」のだ。
「いやー、さすがにこんなタレントを、しかもレギュラーでなんか、無理です」
私は当然断った。バーターならほかにもいるはずだ。大人数を抱える吉本興業である。
■バーターなしなら芸人の出演も流れそうな雰囲気に
いったん断ったあとの吉本興業からの返答は「いや、どうしてもA子を起用してほしい」だった。
「それは無理です」
「岡本氏の意向です」
「別なタレントならいいですけど」
「それでは駄目だと」
そして、A子をレギュラー起用しなければ、最初に希望した芸人の出演も流れそうな雰囲気になってきたのだ。
押し問答が何度かあったが、結局、A子さんはレギュラーとなった。
岡本氏が〝強引さ〟によって日テレの番組キャスティングを突破したのだった。
このような出来事が、おそらくさまざまな番組、テレビ局であったのだろう。
そして「テレビ局は株主だから大丈夫」という意識につながっていったのではないだろうか。
■現場のスタッフも起用に困惑
しかしこのA子さん、実際に番組が始まっても、彼女はスタッフの期待に添うことはできなかった。視聴者からの反応もほとんどなかったのだ。現場のスタッフにも「なぜこのタレントが?」という疑問符が常について回った。
売れているタレントさんは「街ロケ」のような一見簡単に見える仕事でも、触れあう店の人、一般のお客さんにキチンと気配りができて、撮影ではスタッフの意向を汲みつつさらに〝面白く〟していくものだ。しかしA子さんにはその才能はなかった。- 0
19/07/23 14:50:43