自宅に無理矢理押しかける報道陣、葬儀場にまで集まるカメラ。「被害者取材」は本当に必要なのか

  • なんでも
  • 嘉承
  • 19/06/04 15:43:20

子どもが巻き込まれる事件・事故が相次ぐなか、報道のあり方に厳しい視線が注がれている。
大津市で5月8日に起きた保育園児らが死傷した事故では、保育園側が開いた会見について、
ネット上で「なぜ園を追及するのか」とメディアへの批判が広がった。
また、1週間前の5月28日には川崎市登戸で児童ら19人への殺傷事件が起き、現場や被害者が
通っていた小学校には多くの報道陣が詰め掛け、再び批判が巻き起こった。

双方ともに被害者側が「取材の自粛」を要請をしたこともあり、「被害者取材/報道」の是非を問う声も広がっている。
そのあるべき姿について、専門家に話を聞いた。

「被害者に話を聞くという行為そのものに、マスメディアの”業”があると思っています」

そうBuzzFeed Newsの取材に語るのは、法政大学の津田正太郎教授(メディア社会学)だ。

「こういう悲惨な事件事故が起きたとき、ある種の私的制裁のように、みんなが拳を振り上げてしまうことがあります。
加害者だけではなく、マスメディアがその矛先になるとも言えます」

「心労で苦しんでいる被害者に話を聞くこと自体に、嫌悪感を持っている人は多い。これまでも潜在的に感じていた人は
少なくなかったはずですが、SNSが普及して一般の人が声をあげることで、『不満に思っていたのは自分だけじゃない』と、
マスメディア批判が加速されていったのではないでしょうか」

メディアを「ただの野次馬」として感じている受け手は少なくないというのが、津田教授の見方だ。

特に会見や現場の様子などが生中継されるようになった最近は、記者の質問の内容は態度を指摘し、特定し、
さらに批判するという流れもたびたび起きている。

大津の事故のあとには、批判の高まりを受け、京都新聞などが紙面やサイト上で「正確な事実を伝え、再発防止策を探るためには、
被害者である園の側への取材も必要だった」と説明した。

津田教授は、メディア側が繰り返してきたこうした「再発防止」というロジックには疑義を持つ。

「再発防止とは、マクロに、社会全体で負う問題。それを、たまたまそこにいる被害者に負わせてよいのでしょうか」

マスコミによる「二次被害」

大量の報道関係者が自宅にまで押しかけ、無理やり被害者のコメントを取ろうとする。葬儀場にまで、カメラが集まる。
記者会見ではときに、心無い質問をぶつけてしまうーー。
たびたび問題視される被害者への取材。事件・事故の「二次被害」を生んでいるとも指摘されることは少なくない。

阪神淡路大震災やオウム真理教をめぐる一連の事件、神戸の児童殺傷事件、和歌山カレー毒物混入事件など、
メディアが大きく取り上げる事件や災害、事故が相次いでいくなかで、報道側でもこの20年ほどの間、常に議論がなされてきた。

2001年12月には、いわゆる「メディアスクラム」(集団的過熱取材)についての見解が日本民間放送連盟から出されている。

「取材対象者のプライバシーや一般市民の平穏な生活が侵されているという批判の声が高まっている」として、以下のような
「取材場の留意点」がまとめられたのだ。

《(1)いやがる取材対象者を集団で執ように追いまわしたり、強引に取り囲む取材は避ける。未成年者、特に幼児・児童の場合は特段の配慮を行う。
(2)死傷者を出した現場、通夜・葬儀などでは、遺族や関係者の感情に十分配慮する。
(3)直接の取材対象者だけではなく、近隣の住民の日常生活や感情に配慮する。取材車両の駐車方法、取材者の服装、飲食や喫煙時のふるまいなどに注意する。》

日本新聞協会も2001年12月、ほぼ同じ内容の見解を出している。こうした流れを汲み、少しずつ改善はされているという見方もある。
一方で、いまだに批判を受けざるを得ない過熱報道が起きているという現実もある。

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    • 19/06/04 16:35:18

    TVに良識が無くなってきた。読者に媚びるようになったのさ。

    • 0
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