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- 19/04/06 17:26:11
2019年4月6日 15:28朝日デジタル
長い髪の毛を集めてウィッグ(かつら)をつくり、病気やけがで髪を失った子どもに贈る「ヘアドネーション(髪の寄付)」。この活動に賛同し、髪を伸ばしてきた愛知県尾張旭市の富田小次朗君(6)が、小学校への入学を機に腰まであった髪を切った。母の理子(あやこ)さん(41)は「男の子でも寄付できることを知ってもらえた」といい、伸びた髪とともに息子の成長に目を細めた。
3年前、テレビでヘアドネーションの活動を知った理子さんが、小次朗君に「やってみる」とたずねたところ、「うん、やる」という言葉が返ってきた。半信半疑だった理子さんだが、途中でやめてもいいぐらいに考えていたという。
半年後の夏。あまりの暑さに「切りたい」と小次朗君が言い出したことがあったが、くじけそうになったのはこの1回だけだった。乾かすのに時間がかかったり、髪が絡まったりして大変なこともあったけど、切るのが決まった時は残念がるぐらい本人は気に入っていた。
女の子に間違えられたり、保育園の友だちに「なんで髪が長いの?」と聞かれたりしても、「寄付するためだよ」と説明してきた。理子さんは「ママ友へのPR効果はあったと思う」と振り返る。
ヘアドネーションは米国で始まったとされ、日本では2009年に大阪市の美容師らがNPO法人「Japan Hair Donation&Charity(JHD&C=ジャーダック)」を設立して活動を始めた。賛同する美容室は全国に広がりつつあるという。
子ども用のメディカルウィッグは少ない。31センチ以上の髪を半分に折ってメッシュ状の「ウィッグネット」に1本ずつ結びつけて作る。1人分のウィッグをつくるのに20~30人分の髪の毛が必要で、完成品は18歳以下の子どもに無償提供される。
小次朗君は29日、名古屋市昭和区の美容院で「断髪式」に臨んだ。美容師にお願いし、小次朗君も自分自身の髪にはさみを入れた。腰まで伸びた髪は40センチほど切り、耳が出るほどの長さになった。
切った髪は夏休みに直接、NPO法人に届け、ウィッグができる様子などを見学することにしている。理子さんは「頑張ったねという気持ちがこみ上げてきた」。小次朗君は「ドキドキしたけど、寄付できるのはうれしい。自分じゃないみたい。また伸ばしたい」と軽くなった髪をなでていた。(松永佳伸)
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