- なんでも
- 匿名
- 19/03/07 22:59:52
麻酔薬を使った虫歯の治療後に容体が急変した女児(当時2歳)に適切な救命措置を取らず死亡させたとして、福岡県警は7日、福岡県春日市の小児歯科医院(閉鎖)の院長だった男性歯科医(53)=同県筑紫野市=を業務上過失致死容疑で福岡地検に書類送検した。県警は酸素吸入や救急車を呼ぶなどの措置を取れば救命できたと判断した。
死亡したのは、春日市の山口叶愛(のあ)ちゃん。男性歯科医の容疑は2017年7月1日午後4時ごろ、口内に麻酔薬を注射して局所麻酔をし、虫歯治療をした女性歯科医から引き継ぎを受けた後、叶愛ちゃんの容体が急変したにもかかわらず必要な救命措置を取らず、2日後に搬送先の病院で死亡させたとしている。
県警によると、死因は麻酔薬のリドカインの急性中毒による低酸素脳症。治療は約1時間行われ、治療後に叶愛ちゃんにけいれんや意識障害の症状が表れた。県警は男性歯科医の認否を明らかにしていないが、「治療後によくある疲れた様子だと思い、緊急性はないと判断した」と供述しているという。
県警は専門家らから話を聞くなどした結果、リドカインの投与量や使用法には問題はなかったが、使用後に中毒症状が出る可能性があることは、薬の注意書きに記されており麻酔薬を扱う歯科医ならば当然知っていると判断。ただちに救命措置を取れば、死亡を回避できた可能性が高いと結論づけた。
幼児への歯科治療を巡っては、00年6月に福岡市で2歳の女児が、02年6月には埼玉県深谷市で4歳の女児がいずれも麻酔後にショック症状を起こし死亡した。深谷市の事故の民事訴訟では歯科医の過失が一部認められ、遺族への賠償が命じられた。【柿崎誠】
◇「絶対に大丈夫ということはない」
元日本小児歯科学会会長の中田稔・九州大名誉教授の話 歯の治療では頻繁に局所麻酔が使われる。事故につながるケースはほとんどないが、絶対に大丈夫ということはない。小さな子供はうまく意思表示ができないので、歯科医師は歯科助手らと連携を取って異常を察知する態勢を取り、問題があれば速やかに救急車を呼ぶ手順を確認しておくことが重要だ。何かあった時に相談できるよう、日ごろから小児科医と連携を持つことも求められる。
◇両親「なぜ歯の治療で……」
「何でもない虫歯治療でなぜ死なねばならなかったのか。真相を解明してほしい」。山口叶愛ちゃんの両親は愛娘の死を今も受け入れられずにいる。
日ごろから歯磨きは欠かさなかったが、虫歯予防のため医院を訪れ「虫歯がある」と説明された。麻酔薬が使われたのは4回目の治療となる事故当日が初めてで、叶愛ちゃんは治療を嫌がり激しく泣いた。そのまま治療は続けられ、次第に疲れたような泣き方になり呼吸は「ヒッ、ヒッ」と苦しそうになった。
約1時間の治療が終わったころには体は硬く唇は紫になり、目の焦点も合わなくなっていた。両親は複数回、男性歯科医に異変を訴えたが「疲れと眠さでよくあること」と言われたため、院内で横になって休ませた。約1時間後、容体が悪化し両親が車で救急病院に搬送したが、体温は40度を超えて意識不明になり、そのまま2日後に死亡した。
両親は「娘は活発で多くの人から愛されていた。なぜ、健康になるための歯の治療で死ななければならないのか。同じ悲劇が繰り返されてほしくない」と憤り、男性歯科医を相手取った損害賠償訴訟の準備も進める。
一方、男性歯科医の代理人弁護士は「疲れた様子はあったが脈は正常で、救急車を呼んだり病院に搬送したりする所見は見られなかった。過失はなかった」としている。【柿崎誠】
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