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- 佃煮
- 19/02/22 18:48:23
農林水産省は22日、野生イノシシが岐阜、愛知両県で広がっている家畜伝染病「豚コレラ」の感染を媒介しているとして、イノシシへのワクチン使用を決めた。家畜伝染病対策で野生動物にワクチンを使うのは国内で初めて。対策を求める養豚業界などの声に押された形だが、専門家からは費用対効果を疑問視する声もある。
豚コレラは19日、岐阜県瑞浪市で10例目が発生した。3キロほど離れた場所でイノシシに陽性反応が出ており、吉川貴盛農相は22日の記者会見で「(イノシシにワクチンを使う)時期に来ていると判断した」と述べた。感染したイノシシは21日現在、岐阜県で170頭、愛知県で10頭確認されている。
農水省はドイツからワクチン入りのえさをまず12万個輸入し、3月中旬以降、愛知、岐阜両県と協力してまく。効果を検証しつつ2年以上続ける方針。愛知県豊田市の農場からウイルスに感染した子豚が出荷された長野、滋賀、大阪ではイノシシの感染例がないため、散布しない。
ただ、ワクチン使用には費用と時間がかかる上、豚コレラを撲滅する効果も不透明だ。ワクチン入りのえさの調達費は年間数千万~1億円程度の見込み。散布の人件費も必要になる。農水省によると、欧州では2~7年程度散布してイノシシでの発生がなくなった事例があるが、東欧では予算が続かず中断した事例もあったという。
また、日本の山はイノシシのえさとなる植物などが豊富で、ワクチン入りのえさを食べるのかどうか、専門家の間でも意見が割れているという。
豚コレラの終息を急ぎたい日本養豚協会は豚へのワクチン接種も要望しているが、接種するとウイルス撲滅を示す「清浄国」への復帰まで数年かかり、輸出に影響するため、農水省は否定的だ。吉川農相は会見で豚への投与について「きわめて慎重に判断しなくてはならない」と述べた。
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