相模原19人殺傷2年 遺族のジレンマ

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  • 18/07/22 04:06:07

 相模原市の障害者施設「津久井やまゆり園」で平成28年、入所者19人が刺殺されるなどした事件は26日で発生から2年になる。横浜地裁で昨年9月から争点を絞り込む公判前整理手続きに入っているが、殺人罪などで起訴された元職員の植松聖(さとし)被告(28)は「彼らは人ではない」などと犯行を正当化する主張を今も続けている。遺族らは日増しに募る喪失感にうちひしがれ、差別への懸念からいまだ実名を明かせないジレンマも抱えている。

 「1日も娘のことを忘れたことはない」

 当時26歳だった長女を失った50代の女性はそう語る。事件後に飾り始めた長女の写真は1枚、また1枚と増え、今では家のどこにいても長女の笑顔に触れられるようになった。

 ぱっちりとした目が特徴的で、近所から「かわいいね」と言われることも多かった自慢の娘。1人で食事をしていると、時折「ソフトクリームが食べたいな」とせがむ声が聞こえてくるような気がする。「今も近くにいるんだね」。一瞬喜びも感じるが、娘がいない現実に引き戻されると、深い喪失感に襲われる。

 事件をめぐっては、殺害された入所者19人の大半の実名が明らかになっていない。「知的障害者が家族であることが知られると、生活に影響が出かねない」などとして、遺族側が公表を認めていないためだ。

 ただ、少しずつ前に進もうとしている遺族もいる。

 兄を失った50代の女性は今年2月、事件を考えるシンポジウムに初めて参加した。事件後、サイレンの音も怖くなっていたという女性だが、再会した同じ被害者家族と話すうちに、心が少し軽くなった。

 兄は言葉での意思疎通が困難で、写真や絵を通じて園の職員らとコミュニケーションを取っていた。物静かだが、他の入所者が転倒したりすると、必死に職員らに知らせたりする優しい心の持ち主だった。

 そんな兄の存在を消したいわけではない。でも実名を明かすのは怖い。揺れる思いは今も変わらないが、少しずつでも事件に向き合おうとしている。「思いを共有できる人に会えてよかった」。シンポジウム後、そう話す女性の表情はいくぶん明るくなった。

 先月、勾留中の植松聖被告と面会したある遺族の男性は、被告について「事件当時と何も変わっていなかった」と振り返る。植松被告は、多くの遺族らが実名を公表せず、口を閉ざしている現状について「結局は障害者が身内にいることを隠したいんだ」と本紙記者に語っていた。

 「長い時間、社会からの差別を経験してきた。まだ心の準備ができていないだけだ」。女性は語気を強めた。(河野光汰)

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