- なんでも
- なると巻き
- 18/02/26 13:28:35
第2次安倍内閣が発足して6年目、教育格差がますます広がっています。この5年で、国の奨学金が返せずに自己破産した人が延べ約1万5000人。しかも約半分が、保証人になっている親や親戚をも巻き込んだ破産だそうです。保証人になった親や親戚に返済余裕がなく、共倒れになっているとのこと。
今や、国公立大学でも自宅から4年間通って約500万円かかる時代。地方から出てきて下宿しながら学校に通うと約1000万円近くかかります。これが私立なら、学部によっても違いますが、自宅通学でも4年間で約700万円。地方から出てきて下宿しながらだと、約1200万円以上かかります。
親が裕福でなければ、なかなか出せるお金ではありません。ツイッターでは、「教育費払えないの私だ」「奨学金返せないの私だ」「悪質ローン化した奨学金」などという、奨学金に対する怨嗟(えんさ)の声が。
日本学生支援機構がまだ日本育英会と呼ばれていたころは、奨学金は勉学のためのお金ということで、返済についても今ほど厳しくはありませんでした。
けれど今は、3カ月滞納して払えないと、奨学金の債権は日本学生支援機構から民間の債権回収会社に回され、民間ですから、血も涙もない督促が続くことになります。しかも、個人信用情報機関に滞納記録が載せられてしまうので、実質的なブラックリスト入りということになってしまいます。
給料が低いので奨学金が返せないなら、もっと給料が高いところに転職すればよさそうなものですが、ブラックリストに載ってしまうと、給料がいい金融機関などへの就職は難しくなるでしょう。さらに、クレジットカードもつくれなくなる。しかも、延滞金には5%という高い利息がつくので、借金が雪だるま式に増えていく。
もちろん、経済的に困窮した場合には返済期限を猶予してもらうこともできますが、適用期間は通常は通算で10年。現在、猶予を受けている人たちは延べ約10万人いて、その期限が切れる2019年以降、ますます奨学金で自己破産する若者が増えていくといわれています。そうなれば、奨学金でせっかくの人生を狂わされてしまう人も出てくることでしょう。
今、大学を卒業する若者の半数近くが奨学金を抱えています。その返済に汲々(きゅうきゅう)としている人たちが、結婚して子供を産んで子供を大学まで行かせようなどと人生を前向きに考えられるでしょうか。「子供には、こんな苦労させたくない。子供なんて、いらない」という空気が、今の若い人たちの間にはすでにあるような気がします。
日本の少子化の一端は、OECD(経済協力開発機構)34カ国中、国が高等教育にもっともお金を出さない日本のシステムにあるのかもしれません。
そういえば、以前ジャーナリストの堤未果さんと話していた時に、アメリカでは、奨学金が返せない学生が、「奨学金を肩代わりしてあげる」という政府に騙(だま)されて、アフガニスタンなど戦場の最前線に送られているという話を聞き、ショックを受けました。
貧困の連鎖を抜け出すために、奨学金につられて戦場に行く若者。そんな過酷な状況が、日本でも出てこないとは限りません。
教育基本法第3条には、「教育の機会均等」があります。けれど、広がる格差の中で、なんだか有名無実になりつつある気がします。
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