私は泣けなかった
葬儀の時も誰かの葬儀に参列してる感覚で全く実感なかったよ
火葬の時も来ちゃダメだと言われて、待ち合いの窓からずっと外見てた。その景色だけは鮮明に覚えてる。
悲しい、苦しい、寂しいって意識をもって泣けたのは、葬儀が終わった日の夜。
夜中に子供の部屋のドアを開けたら、いつもなら寝てるはずのベッドにいなくてね。
寝る前には絶対机の上を片付ける子なのに、シャーペンとノートが置きっぱなしでね。
おやすみと言ってドア閉めたら勝手に涙が出てきちゃって、そこからはだんだん色がつくみたいに、急に時間が動き出したみたいに気持ちがブワッと込み上げてきて声をあげてないた。

悲しみで狂ったように泣きわめけるのは、心と頭が一致してるからじゃないかな。感情として泣けるってそういうことだよね。
でもね受け入れられないくらいの衝撃の時は、人間て現実を受け入れないように拒絶するんだって。自身が壊れてしまうのを防ぐためらしい。だから状況はわかってても心が追い付かない。泣けない。