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- 17/08/24 13:36:28
元名大生事件
改めて無罪主張 控訴審初公判
名古屋市で高齢女性を殺害し、仙台市で高校の同級生ら2人に劇物の硫酸タリウムを飲ませたなどとされる元名古屋大学生の女(21)=事件当時16~19歳=の控訴審初公判が24日、名古屋高裁(村山浩昭裁判長)で開かれ、弁護側は改めて無罪を主張した。検察側は控訴棄却を求めた。
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元学生は殺人、殺人未遂罪などに問われ、裁判員裁判の1審・名古屋地裁判決(3月24日)は求刑通り無期懲役を言い渡した。弁護側は「1審判決は数々の重大な事実誤認の上で責任能力を認める誤りを犯している」と述べた。控訴審も1審に続き、元学生の責任能力の有無が最大の争点になる。
1審で元学生は「人が死ぬところを見たかった」などと語り、弁護側は「重い発達障害で人の死に興味が集中したのに加え、双極性障害(そううつ病)のそう状態で善悪の判断も行動の抑制もできなかった」と主張した。これに対し1審判決は、各事件の際に計画的で状況に応じた行動を取っていたとして「障害は一定程度影響しているが、限定的だった」として完全責任能力を認めていた。
24日の法廷で弁護側は「1審判決は元学生の障害を理解せず、公平、公正さを欠く誤った事実認定と責任能力に関する判断を重ねた」と主張した。さらに、元学生の責任能力を否定した精神鑑定医(弁護側証人)の証言の評価を誤っていると訴えた。また、タリウム事件で殺意を認定したことも「障害の特性を踏まえていない」と批判した。
一方、検察側は「弁護側の控訴趣意にはいずれも理由はなく、1審判決の事実認定に誤りはない」と控訴棄却を求めた。
弁護側は責任能力に関し、1審で出廷した3人の精神鑑定医とは別の医師による意見書を提出したいと訴えた。次回の公判は10月27日に開かれ、被告人質問が行われる。
1審判決によると、元学生は大学1年時の2014年12月、名古屋市の自宅アパートで知人の森外茂子(ともこ)さん(当時77歳)の頭を手おので殴り、首を絞めて窒息死させた。高校2年時の12年5~7月には仙台市で、中学時代の同級生女性に約0.8グラム、高校の同級生男性に計約1.2グラムの硫酸タリウムをそれぞれ飲み物に混ぜて飲ませ、タリウム中毒にさせた。【金寿英】
「裁判の行方を見守りたい」
タリウム事件の被害者の女性(21)は控訴審初公判を控えた22日、代理人弁護士を通じて「裁判の行方を見守りたい」とするコメントを発表した。
検察側の求刑通り無期懲役とした1審判決について「私なりに受け止め、被告にも真剣に向き合ってほしいと思っていました」とした。その上で「控訴審の判決も、被告には真剣に向き合ってほしい。反省し、罪を償ってほしい」としている。【金寿英】
落ち着いた口調
名古屋高裁の控訴審初公判に臨んだ元学生は、白色のシャツに黒色のズボン姿で、白いマスクを着け、髪を後ろで結び、入廷した。
証言台に座り、村山浩昭裁判長から名前や生年月日が書面の通り間違いないか確認されると、落ち着いた口調で「ございません」と答えた。弁護側が「責任能力を認めることができない」などと控訴理由を説明する際は、うつむき加減で、じっと聴き入っていた。
この日、一般用に用意された傍聴席81席に対し、傍聴希望者219人が並び、関心の高さがうかがえた。【野村阿悠子】
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