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- 匿名
- 17/05/27 11:11:18
誰もがふと口にする「死ぬほど忙しい」というセリフ。単なる挨拶代りのこともあれば、実際に過労死寸前という場合もある。SPA!が35~45歳の男性サラリーマン1979人を対象にアンケートを取ると、実に8割以上が忙しさを実感していることが判明。では、なぜこんなにもアラフォー会社員は激務を強いられるのか?
◆仕事以外に家事・育児も全力なんてムリだ
「共働きで朝の子供の世話は自分の担当。6時前に起きて朝食を作り、保育園に送ってから出社するのですが、眠くて仕事が捗らない。結局、残業になって、帰宅して寝るのが午前1時すぎ。でも、また翌日は6時前に起きなきゃいけません。ほかの共働きの家庭はどう分担をしているのか、不思議でなりません」(武田博さん・仮名・40歳・IT)
世の中では“イクメンブーム”などと持て囃される一方、厳しい現実に直面しているアラフォー世代は少なくない。社会学者の田中俊之氏は、「イクメンの“功罪”の中で、“罪”が表面化している」と指摘する。
「たしかに、国際的に見れば日本の男性の家事・育児への参加時間は短い。しかし、それを覆して余りあるほど労働時間が長いので、プライベートの時間はほとんどなくなってしまう。そして、そのしわ寄せは主に睡眠時間の短さに繋がり、大きな負担となるのです」
「家事・育児は負担?」というアンケート結果を見ても、「おおいに負担」(96人)、「どちらかといえば負担」(149人)が8割以上。
「本当に“イクメン”を推進するなら、労働時間を減らす以外に道はないのに、厚労省は『子育てを通じて、自分も成長』とお題目を唱えるばかり。実際、6歳以下の子供を持つ世帯の過半数が主婦で、正社員の妻は2割程度ですから、“共働きでイクメン”というブーム自体が砂上の楼閣なわけです」
◆アラフォー世代は現代社会の“モルモット”
社会基盤が伴わないなか、「イクメンで当然」というプレッシャーだけが先行し、家庭内で摩耗していく。その結果、発生しているのが“自宅難民”。
「家でぐったりしていると妻が不機嫌になるので、無理やり会社で残業したり、休日も仕事に行くと嘘をついてネットカフェに入り浸ったり。もちろん給料には反映されないので、『これだけ働いて、なんで給料上がらないの? 頭に砂が詰まってるんじゃないの?』と妻になじられる毎日です」(武藤利成さん・仮名・38歳・保険)
「家事・育児の何が忙しさを助長する?」というアンケートにも「家族サービス」(95人)、「子供の遊び相手」(87人)が負担だとあるように、“イクメン疲れ”のストレスは、やがて家庭不和に向かってしまう。だが、それでは問題の本質から外れてしまうと田中氏は語る。
「現実を伴わないイクメンブームと上の世代からの仕事のプレッシャーの板挟みに苦しむアラフォー世代は、いわばワーク・ライフ・バランスの“実験台”。どんなに忙しくても、誰も手助けしてくれません。ひんしゅく覚悟でイクメンブームに乗っかり、育休を申請したところで、既存の価値観からの風当たりを真っ向から食らうだけですしね……」
現実と風潮の乖離が進むなか、社会のモルモットとして雑に扱われる世代には、窮鼠猫を噛むことすら許されないのだ。
<家事・育児は負担?>
・どちらかといえば負担 149人
・おおいに負担 96人
・負担ではない 55人
<家事・育児の何が忙しさを助長する?(複数回答)>
・家族サービス 135人
・自由なひとりの時間がない 112人
・休日に子供の遊び相手をする 97人
・掃除、洗濯、食器洗いなどの一般家事 60人
・仕事の忙しさを理解されない 55人
・子供の寝かしつけなどで寝られない 36人
・保育園、幼稚園などの送迎 26人
・料理全般 25人
・家事・育児をしても妻から理解を得られない 25人
・妻との不仲で家にいても安らげない 19人
【田中俊之氏】
社会学者。武蔵大学社会学部助教。専門は男性学。著書に『男がつらいよ』(中経出版)、『男が働かない、いいじゃないか!』(講談社)など
取材・文/SPA!「忙しさの正体」特捜班 アンケート協力/エコンテ
― 死ぬほど忙しいの正体 ―
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