• No.1527 チャン

    17/09/23 12:07:23

    Another story

    「ごめん…愛してる…」
    そう言うと律は波打ち際を歩き出した。

    凛華の声にならない感情は涙として溢れ出した。
    「行かないで律…」
    そんな凛華の想いも受話器越しの律の後を追う波のように引いては押し戻されてしまうのだ。


    そして律は死んだ。
    しかしその表情はどこか安心していて韓国にいた時のような闇で生きていた律の顔とは違っていた。


    サトルの病室では椅子に座って麗子が窓の外を見つめている。
    「サトル、準備が出来次第、移植手術が始まるわ。あの人には感謝しないとね…」

    神妙な顔でサトルが口を開いた。
    「母さん、大事な話しがあるんだ。落ち着いて聞いてほしい。」

    「どうしたの?サトル。」


    「母さんあのね…母さんの子供は死産なんかしていないんだよ…。」

    「え…?何を言っているの…?」



    「そしてその子供は龍さんだよ」



    「…変な事言わないで!あの子は産まれた時死産…」
    「母さん!子供は生きていたんだよ!」


    病室の入り口に佇む恒夫に麗子が気が付いた。


    「申し訳ございません!申し訳ございません…」

    「どういう事なの…?」




    ____________ ________ ____ ____ ____ 。






    「本当に、本当に申し訳ございませんでしたー……」

    「どうして?どうしてなの!私がどれだけあの子を心待ちしていたか知ってたじゃない!出て行って…早く出て行ってちょうだい‼」


    静まり返った病室には荒々しい麗子の呼吸だけが響き渡っていた。




    しばらくして、サトルが麗子に語りかける。
    「母さん、龍さん…兄さんの所に行ってあげて。最期に会ってあげて。」





    律の眠る部屋に入る麗子。
    そこには泣き枯れた凛華がじっと律と見つめていた。

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