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- 12/10/27 19:49:41
世界文化賞受賞者、蔡國強さん 日本への恩返し
産経新聞 10月27日(土)19時19分配信
中国出身の国際的なアーティスト、蔡國強(さいこっきょう)さん(54)が、今年の高松宮殿下記念世界文化賞(絵画部門)を受賞した。花火など火薬を使ったダイナミックな作品で世界的に知られている。日本との関係は深く、昭和61年から平成7年まで日本に滞在、その間、筑波大学で研究生として学んだ。
蔡さんは在日中に多くの日本の美術関係者とも知り合った。美術評論家の北川フラムさん(65)もその一人。蔡さんが筑波大学にいたころからのつきあいだという。蔡さんは北川さんから依頼を受け「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ」(平成12年)の第1回展に参加。豪雪地帯の津南(つなん)の山の中に、生誕地の福建省から登り窯を移築。「ドラゴン現代美術館」と名付け、自ら館長兼学芸員として、登り窯を会場とした展覧会を「大地の芸術祭」の際に実施している。今年はそこでアメリカの女性アーティスト、アン・ハミルトンさん(56)のパフォーマンスが行われた。登り窯の隙間からいくつものチューブが出ていて、参加者はハミルトンさんの指図によって、チューブを吸ったり吐いたり。するとなんとも形容しがたい不思議な音が発生。登り窯のある森に音のある風景が出現した。
蔡さんは作品だけではなく人間的にも魅力がある。有名人だからといって偉ぶらない。10年前、北海道で開催された「とかち国際現代アート展」(デメーテル)でインタビューしたときと、まったく変わらない。優しく人なつこい。飾らなく、誠意のある受け答えをする。
いま日本と中国との関係は冷え切り、多くの文化交流も中止となっている。そんな中にあっても政治とは関係なく、日本の賞をもらい、授賞式への出席のために日本にやってきた。関係の深い福島県のいわき市には東日本震災後になんども訪れ、桜の苗木を植える活動を行っている。いわき市立美術館が若いころにいち早く才能を認めてくれたことへの恩返しだそうだ。日本人以上に日本人的な感性をもっている。23日の授賞式の際、久しぶりにお会いしたが、覚えてくれていたので驚いた。記憶力もすごい。(渋沢和彦)
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