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「権力闘争の道具」「妊娠拉致」元幹部が語った実態
配信元:産経新聞
2011/12/24 14:23
【独裁者の大罪】
金正日時代と拉致(上)
密告と粛清で北朝鮮を統治してきた金正日時代が終わった。
正恩体制の行方に国際社会の関心が集まるが、世代が代わり政権が交代したからといって旧悪が過去のものになるわけではない。
「拉致」をキーワードに、関係者の証言を交えつつ金正日時代の深い闇に改めて光を当てる。
(久保田るり子)
1980年代初め、台湾で大物の北朝鮮高官が韓国情報機関に拘束された。
申平吉と名乗ったが、本名を朴ビョンフンという。
朝鮮労働党の対南(韓国)工作部門のナンバー2だった。
「申のもたらした情報は韓国の北朝鮮分析のバイブルといっていい」(韓国情報機関幹部)
そして彼こそ、金正日総書記による外国人拉致工作指令を初めて明らかにした人物である。
その証言によると-。
「これまでの工作は、一言でいえば0点だ!」
76年、金総書記は対南工作部門幹部会議で熱弁をふるっていた。
「日本に行けば日本人、中国に行けば中国人、南朝鮮(韓国)に行けば南朝鮮人となり、言語、習慣、職業を合法的に獲得すれば、どんな工作でも自由にできるではないか!」
「工作員の現地化教育のために現地人を連れてこい!」
外国人拉致という国家犯罪はこの瞬間に生まれた。
□ □
南北が厳しい対立関係にあった当時、北朝鮮は韓国の「赤化統一」を国家目標に、国家予算の7割までも対南工作に割いていた。
74年に父・金日成から後継者内定を受けた金総書記にとって、父の歓心を買い、自らの基盤を確固たるものにするためにも、対南工作の“果実”がのどから手が出るほど、ほしかった。
まず、75年に労働党の全ての対南工作機関と海外拠点に「過去の総括」を命じた。
総括とは、失敗を認めさせるための自己批判のことだ。
2年に及んだ総括では精神を病む者や自殺者が続出したという。
そして76年、金総書記が金日成からの世襲過程で、対抗勢力を排除する権力闘争の「道具」として考案し実行を指令したもの、それが外国人拉致だった。
総括以降、金総書記は工作資金1ドルにいたるまで自身のサインなしに動かせない盤石な権力機関を構築していく。
続きます。- 0
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