- 趣味・遊び
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みんな書いてくれないかな~。
翔くんで書きます。
【花火大会に行っても別にバレないよ。だってみんな花火見に来てるんだもん。】
大野さんの言葉を信じて、俺は今花火大会へ向かおうとしているわけで。プライベートでは滅多に着ることのない浴衣に袖を通し、君との待ち合わせ場所に立っている。
でも大野さんを100%は信じられず、メガネをかけ、口元を扇子で隠し...ってこれ普通に変装だな。
『遅ぇな...』
時計の針は待ち合わせの時刻の15分後を指している。
目の前には人の波。ゆっくりゆっくり、大きなうねり。一度はぐれたら再び出会うのはきっと不可能だろうな。
そんなことを考えていたら、君がやって来た。
「ごめんごめん!やっと辿り着いた。」
少し顔を赤らめて、首筋をハンカチで押さえて、いつもよりずっと色っぽい君。
『もう遅ぇよ。』
「ごめん!電車が混んでて、おまけに駅からここまでも混んでて...」
『分かった分かった。この光景見てたら分かるから。つーか俺が早く来すぎたって噂もあるけどな。』
「そうなの?だったら余計ごめんね。」
『じゃ、行きますか。』
君の手を取り、俺たちは人波に逆らって歩き出す。
君を花火大会に誘ったら、「だったら人があまり来ない穴場がある」と君が教えてくれた。正直、少しショックだった。
二人で行く初めての花火大会。実は君は毎年友だちと見に来ていたと聞いた。いつか俺と行けることを願っていたと。もっと早くこうしていれば良かった。
背中の方から花火の音がする。
『始まったね。』
「そうだね、急ご。もうすぐ着くから。」
『いや、そんな急がなくていいよ。歩きにくいでしょ?』
「大丈夫大丈夫。」
『そう?』
今度は君が俺の手を引いて、小高い丘を登って行く。
「着いたよー!」
『おー!眺め最高じゃん。』
「でしょ?ずっと一緒に来たかったんだよ、翔と。」
『念願叶いましたね。』
「そうですね。」
穏やかに花火を見つめる君の横顔は、赤や青や黄色に照らされる。それに見とれる俺。
さっきまでいたカップルの姿はいつの間にかなくなり、辺りは静まり返っている。そこに花火の音が響き続けるだけ。
『ねぇねぇ。』
「ん?」
『こっち来てよ。』
「どうしたの?」
『いいから。』
君の手を引き、後ろから抱き寄せる。
「翔、大丈夫?」
『何が?』
「誰か来たらって...ちょっと心配(笑)」
『大丈夫でしょ。変装完璧だし。』
「メガネだけじゃん(笑)」
『てかさ、みんな花火見に来てるから、大丈夫なんだって。』
「なんだってって...誰が言ってたの(笑)?」
『いいからいいから。だからさ...』
君をこちらに向かせる。
『...キスしていい?』
「...そんなこと聞かないでよ(笑)」
照れ笑いする君は、赤い花火の光に照らされていた。
君の肩を抱き、ゆっくり顔を近づける。
『あ。』
「何?」
『これ、邪魔だな。』
俺はメガネを外す。
そして、優しく君にキスをした。- 0
12/07/17 00:23:16