- 趣味・遊び
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翔くん
翔の部屋に行くと、何故だかベッドの上に布団がクルクルと丸めて筒状になっていた。
「ねー、これ、何?」
『うわっ!』
翔は慌ててその筒状になった布団を元の状態だったであろう状態に戻す。
「まーた変な事してたんでしょ?」
『…するかよ』
「ふーん…」
『…ちょっ、ちょっ、』
翔が小さく手招きをする。何?と言いながら翔に近づくと…ギュッと抱きしめられた。私の耳元で翔がクスッと笑う。
「ん?何?」
『やっぱりこれだなってさ』
「何が?」
翔は私を抱きしめながら言葉を続ける。
『この感じ』
「何?」
『お前をハグした時のこの感じ』
「?」
『体が覚えてるって言うか、皮膚が覚えてるって言うか』
「覚えてるって?」
『お前をこうやってる時の感じって、時々無性になんてゆーか…思い出したくなるんだよ』
「…もしかして布団を丸めてそれを再現したの?」
私をハグしている感覚を布団で再現しようとしていた翔。
『…うるせぇなぁ…』
「布団と私、どっちが良かった?」
『うるせえって』
そう言いながら翔の腕の力は少し強くなる。可愛くない事言っちゃったかな?
でもね。
翔の体が、翔の皮膚が私の体を覚えてくれている。翔の腕の中でそんな事を言われたら、恥ずかしくなってそんな気持ちを隠す為に可愛くない事も言っちゃうに決まってる。
『あ…、駄目だ。俺、やっぱ駄目だ』
翔の手が私の頭に移動する。
『お前の事、かなり好きかも』
キスをしながら呟く翔の声。
私はその声を、体で、皮膚で覚えよう。
2人の影は部屋に長く伸びる。2人の重なった影は長く長く伸びる。
終わり- 0
12/02/27 23:40:47