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- 18/05/06 11:09:13
卓球南北チーム スポーツの原則が置き去りに
2018年05月06日 06時00分
公平な状況でしのぎを削ってこそ、スポーツ競技は成り立つ。唐突な合同チーム結成には疑問を禁じ得ない。
卓球の世界選手権団体戦女子で、韓国と北朝鮮が準々決勝の対戦前に南北合同チームを結成した。会場に選手が入場した後に、合同チーム結成のアナウンスが流れた。両国の選手は笑顔で肩を組んだ。
韓国と北朝鮮は、準々決勝を戦わずに準決勝進出を決めた。3位決定戦は行われないため、この時点でメダル獲得が確定した。
無論、スポーツを通じて両国の友好が進むのは好ましいことだ。先の南北首脳会談で署名された「板門店宣言」には、国際競技大会への共同出場が盛り込まれている。今回の合同チーム結成は、その延長線上にあると言えよう。
大会前から合同チームで臨むことが決まっていたのであれば、理解はできる。1991年の世界選手権千葉大会では、開幕前に南北合同チームが結成された。
だが、大会途中で、それも両国が対戦する直前に結成した今回は、他国チームとの関係上、明らかに公平性を欠いている。
強豪国同士が一緒になれば、戦力は増すだろう。準々決勝を戦わなかったことは、選手の疲労度の面からプラスに働いたはずだ。
突然の合同チーム結成を認めた国際卓球連盟の対応も看過できない。トーマス・バイカート会長は「平和のことを考えた」と強調したが、世界一を決める大会で、主催者側がルールを歪ゆがめては、大会の権威を損ねるだけだろう。
専門家が「決められたルールを後から、特定の参加者に有利なように変更した。あり得ない行為」と批判しているのは、もっともである。スポーツの根幹を蔑ないがしろにした、と言わざるを得ない。
準決勝で合同チームを破った日本チームの石川佳純選手は「動揺はあった」と率直に語っている。日本卓球協会は、国際卓球連盟などに懸念の意思をはっきりと示すべきだったのではないか。
2月の平昌冬季五輪では、女子アイスホッケーで五輪史上初めて南北合同チームが結成された。北朝鮮選手の参加を例外措置で認めた国際オリンピック委員会(IOC)の姿勢が問題視された。
世界的に注目されるスポーツ大会から政治色を完全に排除するのは、難しいのが現状だ。2020年東京五輪でも課題となろう。
IOCや競技団体自らが政治に配慮し、ルールをねじ曲げることだけは、あってはならない。
YOMIURI ONLINE
2018年05月06日 06時00分
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/20180505-OYT1T50081.html
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