- なんでも
- 無水鍋
- 24/01/08 16:34:23
JAL機「奇跡の脱出」を生んだ “育成主義”…
コロナ禍の経営危機でも研修時間3.5倍に「能力は必ず進歩する!」
「JALの場合、パイロットとCAは、年に一度の厳しい訓練を受けないと、搭乗できないという規定になっています。訓練施設には、CAがもたもたしていると怒鳴る『鬼教官』がたくさんいて、指導が厳しいことで有名です(笑)。
施設内には巨大な屋内プールがあり、海上着水を想定し、救命いかだを出して飛行機から避難する訓練をするんです。私が知っている限り、海外でもプールまで造っている航空会社はありませんよ」
一方、「社員の意識が一変したのは2016年」と話すのは、別の元パイロットだ。2016年2月、新千歳空港で札幌発福岡行き便がエンジントラブルで発煙。
乗客は全員無事だったが、荷物を手に脱出するなど、重大事故の兆候が多数あった。
「この事故を機に、CAがグランドスタッフなどに緊急脱出の手順について説明する訓練が始まりました。社員が乗客になる場合もあるわけで、事故に遭遇した際、率先して模範的行動を取れるようにすることが狙いです。
具体的には、飛行機の客室を再現した屋内で『落ち着いて! 荷物を持たないで!』など緊急時の声の掛け方や、実際の飛行機の高さに設置された脱出シューターを滑る、などです」
「JALは、人材育成にお金と時間をかける会社になったんです。顕著なのは、社員一人あたりの研修費用。一般企業では、一人あたり平均3万円といわれますが、2018年度のJALは約47万円なんです」
しかし、コロナ禍でJALは経営難に陥る。2020年度、研修費は約11万円まで下がり、出航本数が減ったCAは、次々と他社に出向した。
「しかし、それでもJALは “育成主義” を変えませんでした。2018年には研修時間が約71時間だったのが、コロナ禍の2022年には約260時間にまで増えたのです。経営が厳しいときに、研修にお金はかけられないが時間はたっぷりかけていた。CAが家電量販店のノジマに出向した際、『接客態度が素晴らしい』と、お客さんから店にお礼の手紙が届いたといいますよ」(同前)
| Smart FLASH/スマフラ[光文社週刊誌]
https://smart-flash.jp/sociopolitics/268184/
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