ウワスジ
新型コロナウイルスに感染した和歌山県の中学1年の男子生徒は、感染後の後遺症とみられる症状に苦しんだ。小学校卒業の時期と重なり、卒業式に出られなかった。今は元気になり、部活など中学生活を楽しんでいるが、もし症状を見逃していたら――。母親は「どんな症状にも目配りし、ウイルスの恐ろしさを知ってほしい」と訴える。
生徒は小学6年だった1月中旬に発症した。入院したが、発熱やのどの痛みなどの症状は回復して1週間ほどで退院した。異変に気づいたのは3月4日。すぐ保健所に連絡した。食欲がなくなり、頭やおなかが痛んだ。7日、40度の熱が出て、8日に入院した病院で受診すると、即入院を告げられた。
時間の経過とともに高熱に加えておなかが張り、全身が真っ赤に発疹、目も充血した。小児科医は、川崎病に似た症状がみられる小児多系統炎症性症候群(MIS-C)の疑いがあると判断。新型コロナの感染が引き金になった症例と推測した。MIS-Cは全身の血管が炎症を引き起こす原因不明の病気とされる。生徒は炎症を鎮める血液製剤の免疫グロブリンの点滴を始めた。
■38度の熱が「平熱に思えた」
投与後も症状の改善が見られなかったことから11日、専門医がそろう大学病院に転院した。専門医からMIS-C、川崎病、急性心不全と診断された。40度の高熱は2週間ほど続き、「僕はここで死ぬの?」と泣きながら母親に聞いた。
入院時に44キロあった体重は36キロにまで落ちた。18日にあった卒業式には出られなかった。同級生たちは、「絆」の文字の周りに励ましのメッセージを書いた色紙を届けてくれた。熱でうなされながらも「がんばれ!! みんな待っているよ」の文字がうっすら見え、涙が止まらなかった。
3月下旬にようやく熱が下がり始め、好きな音楽をDVDプレーヤーで楽しむ様子に母親はホッと胸をなで下ろした。生徒は「熱が38度に下がった時は、平熱に思えた。胸が苦しくて重たい石が載せられているようだった」と振り返る。
4月3日に退院した。6日には小学校の校長室でたった1人の卒業式も開かれ、卒業証書が授与された。今は元気に中学校に通い、部活のバスケットボール部で練習をする毎日だ。「こんな怖いことになると思わなかった。体育の時間もマスクを外さないなど感染対策だけはしっかり続けたい」。母親は「MIS-Cは米国では多いようだが、日本ではあまり知られていない。子どもがコロナに感染したらその後も顔色の変化に注意し、消化器の症状やおなかの痛みなど異常があればすぐに診察を受けてほしい」と訴えている。(高田純一)
https://news.yahoo.co.jp/articles/8b90c001afe79e3b34f91ec9d4c2dc59868821c1
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