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https://www.dailyshincho.jp/article/2020/06081631/?all=1
■勝ち目が薄い韓国
――韓国が「WTO(世界貿易機関)に日本を訴える」とまた、叫んでいます。
鈴置:(略)韓国政府が問題にしているのは、日本政府が2019年7月、半導体・液晶に関連する3品目の対韓国輸出の管理を厳格にしたことです。いずれも大量破壊兵器の製造に転用できる素材です。
韓国企業がそれらの素材を日本から輸入した直後に第3国に再輸出するなど、不審な動きが起きています。そのうえ、日本政府が質そうと協議を要請した際、韓国政府は一切、応じなかったのです。
――韓国に勝ち目は?
鈴置:WTOに提訴し、紛争解決のためのパネルの設置に成功しても、負ける可能性が高い。提訴はかなりの悪手です。
(略)
そもそも輸出管理は日本政府の権限であって、外国政府が口出しできる問題ではありません。韓国政府は日本の輸出規制は「元徴用工」問題の報復だ――つまり、政治を貿易に持ち込むのは不公正だと言っていますが、この論理がどこまで認められるかは不明です。
それにパネルを作ってもいつ、結論が出るか分かりません。平均で2年間かかっていますし、最終審にあたる上級委員会は米国による反対で定員を確保できず、機能不全に陥っているからです。
「提訴したら日本の輸出管理の厳格化が続く」とのジレンマに韓国は陥る、と日本経済新聞は指摘。そのうえで「日本に譲歩を迫る戦術」と見透かしています。「韓国がWTO提訴手続き再開 『日本、問題解決の意思なし』」(6月2日)です。
――日本は譲歩するのですか?
鈴置:しないと思います。このまま放っておいても、日本に何の損害もないからです。韓国はこの件で2019年9月にもWTOに提訴しました。日韓GSOMIA(軍事情報包括保護協定)を破棄する姿勢も示し、米国の対日圧力に期待しました。
しかし韓国の思惑とは逆に、米国はGSOMIA破棄に激怒。結局、韓国はGSOMIA破棄もWTO提訴も取り下げました。この問題で韓国は失敗し続けてきたのです。
(略)
■命運を左右するフォトレジスト
――話をWTOに戻します。勝てそうもないのに、なぜ文在寅政権は再提訴に動くのでしょうか?
鈴置:理由は2つあります。まず、人気取りです。韓国人は今、「ついに我が国も先進国になった」と大喜びしています。新型肺炎で世界の防疫模範国になった、との思いからです。(略)
もう1つは国家戦略の問題です。日本が対韓輸出管理を強化した3品目の1つにフォトレジストがあります。これを自由に輸入できるかが、韓国の未来を左右するのです。
(略)
半導体の能力は線幅――配線の幅が細いほど高まる。でも、細い線幅を生み出すには、反応密度の高いフォトレジストが必要になります。フォトレジストが微細加工の要なのです。
3品目の1つ、フッ化水素は純度が低いものなら韓国で作れます。韓国製を使うと不良率が上がるので、韓国の半導体メーカー日本製が欲しい。でも、いざとなれば韓国製で間に合わせるでしょう。
しかし、フォトレジストの国産化は当分、難しい。そのうえ、日本メーカー5社が全世界の9割のシェアを握っています。
日本政府は3品目を全面禁輸したわけではなく「怪しげでない輸出」には許可を出しています。が、韓国とすれば日本が突然、フォトレジストの対韓輸出を止めないか気が気ではない。半導体の生産が完全に止まってしまうからです。
そこで自由に輸入できる「ホワイト国」――現在の名称は「グループA」に戻せと要求しているのです。(以下略)- 2
20/06/27 09:33:25