- なんでも
- 安和
- 20/04/18 13:08:42
私が志村けんという芸人を初めてみたのは、初めて日本にきた1999年だ。その前は名前も聞いたことがなければ、その「存在」すら知らなかった。それは当たり前のことだ。当時、韓国では日本の歌、映画、ドラマ、漫画などの流通、放送が禁止されていた。
そんな私が日本に来て初めてテレビで見た志村けんに対する印象は、テレビや劇場でコントを披露する現役芸人というよりは「日本お笑い界の大御所」というイメージだった。若き時代の志村けんを知らなかったからだ。
それから何カ月が経っただろうか。ある日偶然テレビで見た志村けんの「昔の映像」を見て私は大きな衝撃を受けた。その衝撃は単純な「発見」ではなく、失望とため息が絡み合っている複雑なものだった。その時、私が見た映像はそれから20年ほど前に加藤茶と志村けんが披露した「ヒゲダンス」だ。
私が「ヒゲダンス」を見て驚いた理由はそれが韓国で1980年に「パントマイム」という名でTVショーに登場し爆発的な人気を誇ったそれと、全くと言っていいほど同じものだったからだ。つまり、私の驚きは「私が子どもの頃、熱狂したあのお笑いは日本のものをそのまま模倣したものだったのか」という失望でもあったのだ。
1980年、韓国のTVショーに登場した「パントマイム」は、スーツを着た男性二人が繰り広げる無言劇で、演技中に流れる音楽が異なっているという点を除けば「ヒゲダンス」と瓜二つだ。このコーナーは韓国で爆発的な人気となり、「パントマイム」を演じた二人のうちの一人、李周逸(イ・ジュイル1940-2002)は、ここでの人気を足がかりに韓国において一躍「コメディの皇帝」と呼ばれる国民的スターにまで駆け上がった。小学生時代の私自身もご多分に漏れず「パントマイム」を見ては腹を抱えて笑っていた子供の一人だった。
韓国の国民的スターの誕生のきっかけが、あの子供の頃に大好きだった番組が、日本のそれをそのまま剽窃したものだったとは、とガッカリせずにはいられなかった。そして私は「パントマイム」というコーナーを放映していた韓国のTVショーの番組名『土曜日だ! 全員出発』もドリフターズの『8時だョ! 全員集合』をそのままパクったものだと気づいたときにもう一度その失望感を味わうことになった。
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承暦