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- 延喜
- 20/04/17 15:08:45
菓子や会津漆器などを入れる紙製の箱作りを120年以上続け「会津で一番古い箱屋」とされる会津若松市の桐屋紙器工業所が、新型コロナウイルス感染症の拡大を受け、布マスクの販売を始めた。諏佐淳一郎社長(57)は「まさか箱屋がマスクとは思っていなかった」と話す。
本業は、紙製の箱作りと、会津木綿を使った布製品作りだが「感染拡大への不安を少しでも和らげたい」と考え、3月下旬からマスク作りを始めた。材料のガーゼやさらしは会津全域を探し回って確保、ゴムは九州の会社から仕入れた。マスクの型取りには、布製品作りで培った型紙作りの技術が役立った。
紙製の箱や、布製品が並ぶ店の中央に、マスクの形に切られた布、工業用ミシン、アイロンを置き作業している。作業を担当するのは諏佐社長の母栄子さん(80)で「マスク作りは素人だけど、コロナウイルスに立ち向かう勇気を持つのに役立ちたい」と話す。
諏佐社長がマスクの手作りを始めたとSNS(会員制交流サイト)に投稿すると、県内外から問い合わせが相次いだ。「こんなにマスクが必要とされているとは」と驚いたという。
1日に作れる枚数は、平日10枚、土日でも30枚ほど。「今はSNSを通じて受けた注文に応えるのがやっと」で、店頭に置いてもすぐに売り切れてしまう。利益はほぼないが、諏佐さんは「困っている人のため、できる限り作り続けたい」と話す。
マスクを買うために店を訪れた同市の男性(75)は「近隣の町村を回っても手に入らず困っていた。買えて安心した」と話した。
マスクは、白無地の普通サイズが300円、白無地の大きいサイズと色柄の普通サイズが350円。
(4月16日 15:25 福島民友新聞)
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