- ニュース全般
- 久寿
- 19/06/23 09:36:20
福岡市南区の知的障害児入所施設「若久緑園」で暮らす中高生が7月23日、富士山登頂に挑む。虐待などにより家庭で暮らすことができないなど社会体験の乏しい子どもに、山頂に立つ成功体験を通して自己肯定感を高めてもらう。挑戦する8人は昨年秋から、九州の名峰を踏破して体を鍛えており、表情も明るくなるなど心の成長も著しい。
園には3~18歳の69人が入所。約7割が家庭で虐待を受けたといい、寮で集団生活を送りながら近くの学校に通っている。富士登山は5年前、当時園長で登山歴40年以上の中山雄二園長補佐(67)が「日本一の山で自信を付け、生きる糧にしてほしい」と初めて実施、今回とは別の8人が登頂に成功した。
今回は昨年10月、800メートル級の宝満山(福岡県)を皮切りに練習を開始。今年春には、宝満山の倍の高さとなる大分県の由布岳や久住山にも登った。今月16日には前回登頂した入所児が「富士山よりもきつかった」と漏らした、標高1722メートルの市房山(熊本、宮崎県)に挑戦し、総仕上げをする。
メンバーの中学3年男子は「日本の中で空に一番近い人になりたい」。中学2年女子も「頂上で『ここまで登ってきたぞ』って叫ぶ」。挑戦する自分を前向きに捉え、登頂達成時に感じるであろうイメージも膨らんでいる。
登頂当日は施設職員や登山ガイドら計11人がサポート。重度の知的障害がある高校1年男子には、父親が付き添って後押しする。前回はバス移動だったが、今回は万全な体調で臨むため前日に飛行機で現地入りする。
費用負担が難しい家庭事情を踏まえ、園はインターネットで資金を募るクラウドファンディング(CF)を実施中で、目標の120万円へ協力を呼び掛けている。上原桂一郎統括部長(39)は「助け合って頂上を目指し、一人一人が大切な存在なんだよ、と分かってもらえたらうれしい」と話す。CFの募集サイトはhttps://readyfor.jp/projects/midorien
- 0 いいね