- なんでも
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続き
かつて注射の値段(星の買い取り)は、バブルと同じように高騰した。
かつて衝撃の“八百長告白”を行って謎の死をとげた大鳴戸親方(元・高鉄山)は、「八百長の全盛期のきっかけを作ったのは柏戸さんで、確立したのは北の富士だといえるんじゃないでしょうか」(『週刊ポスト1996年2月2日号』)と述べた。そして、このシステムを盤石にしたのが、先ごろ相次いで亡くなった名横綱・千代の富士(九重親方)と、北の湖(第9代、第12代相撲協会理事長)であるとも述べている。
では、星の値段はいくらか?
「千代の富士が全盛のころは、買い取りは80万円でした。ただ、50万円でも話がついたケースもあります。同じように星を借りる場合は40万円でしたが、20万円で話しがついたこともあります」
ただし、相場があるといっても、付き人を通しての交渉で、価格は為替の変動相場制と同じで、そのときの価値である。千代の富士の場合は、1991年1月場所に闘牙から買い取ったときは30万円だったと言う。
もちろん、大一番となると星の価格は大きくアップする。
大一番というのは、たいていは優勝と昇進がかかっているので、その後に得られる利益を考えると、金額はヒトケタ以上アップする。故・大鳴戸親方親方によると、史上最高額が動いたのは、千代の富士が横綱昇進のかかった旭富士に星を売ったときの2000万円だという。
厳密に言うと注射ではないが、平幕力士同士で「互助会」が成立すると、カネを動かさないで、星だけを回すことができる。
星の貸し借りには、そのときどきの相場があるが、これは最初に星を貸してもらうときにかかる金額である。つまり、力士Aは力士Bから星を借りるために、仮に30万円を払うとする。しかし、この星を場所中に返せば、イーブンとなり支払いは不要となる。で、これをするために、力士Aは力士Cに貸している星を力士Bに回すのである。
たとえば、平幕の超ベテラン力士Aが6日目に力士Cと対戦して勝った(白星)たが、この星を12日目に力士Bに負け(黒星)て返した。力士Bはその前日の11日目に力士Cとあたり、勝っていた(白星)ので、この3者間では星が一巡し、3人とも1勝1敗となるという具合である。
続く- 0
17/12/02 14:41:00