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- 17/02/05 16:23:46
グーグル「性犯罪履歴消せず」最高裁が初判断 ネット社会に“時効”なし
2017年02月02日 17時00分
2011年に女子高生にわいせつ行為をして、児童買春・ポルノ禁止法違反の罪で罰金50万円の略式命令が確定した男性が、自分の名前をネット検索すると逮捕歴が表示され続けるのは人権侵害だとして検索結果を削除するよう「グーグル」に求めた裁判で、最高裁は「プライバシー保護が情報公開の公益より優越する場合に限って削除できる」として男性の訴えを退けた。罪を償った人物でもネットで“社会的制裁”を受け続けるのは問題がある一方で、ネットに残る情報が犯罪被害の予防に役立つことがあるのも事実。ネット時代の現状を探った。
15年の一審判決(さいたま地裁)は「過去の犯罪を世間から『忘れられる権利』がある」として検索大手の「グーグル」側に削除を命令したが、昨年7月の高裁判決は「児童買春は親たちにとって重大な関心事。公共性は失われていない」として一審の決定を取り消していた。
過去に、成人女性のヌード写真を女性本人に複数回郵送して、ストーカー規制法違反容疑で逮捕され、不起訴処分になった40代男性A氏は「犯罪を一覧にまとめた個人ブログに、新聞記事の転載だけでなく『女児の体を触った』などと身に覚えのない罪まで脚色され、長いこと実名と顔写真がネット上に残ったのです。検索サイトに削除要請して不起訴告知書、実印や住民票などいろんな書類を提出して削除されるまで数か月かかりました」と明かす。
その間に失職の憂き目にも遭った。「勤めていたゼネコンで上司から『君、逮捕されたことがないか』と呼び出されたのです。後日、『女性社員らがセクハラ被害に遭う可能性がある』とした解雇理由書が届きました」
そんな体験をしたA氏は「ネット社会で一度犯罪者の名を刻めば“終身刑”どころでなく末代まで犯罪者。殺人や強姦ではなく、買春くらいでと言ってはなんですが、何十年も逮捕歴が残れば就職や友人関係にとても不利。ネット社会にも“時効”を設けてほしい」と訴える。
確かにネット上に逮捕歴があることで就職できなかったり、職に就いた後で逮捕歴がバレたことで自殺に追い込まれたケースもある。マンションを借りることができなかったり、結婚や養子縁組で名字を変えざるを得ない人もいるという。
しかし、第2の被害者を出さないためにも、有罪となった人物のネット情報は有用だ。たとえば、雇おうとしたベビーシッターの名前を検索したらロリコンだったら、やはり雇いたくはない。
「ネット普及前、学校に忍び込んで上履きを盗んで逮捕された郵便局員の再就職先は、蒸れた靴のにおいをたくさん嗅げるテニススクールで、何十年ものうのうと楽しんでいるそうです」と法曹関係者。テニススクール側が、もしもネットで上履き泥棒の前科を知っていたら雇わなかっただろう。
忘れられないことで、その後の犯罪を防ぐことができたケースもある。詐欺研究家の野島茂朗氏は「裏口入学詐欺で3回も逮捕された男が、複数の有名予備校や進学塾を渡り歩き、詐欺を続けた。ネットが普及してから裏口入学詐欺のニュースがネットに残り続け、再犯できなくなった事例があります。再犯の可能性を摘み取るという意味では、最高裁の判決は市民を守る有益なものと思われます」と指摘する。
そんな中、いち早く忘れられる権利をビジネスにしているウェブ会社もある。
この件では初の最高裁判断でプライバシー保護のための削除には高いハードルが設けられたが、今後の司法判断で、デマや名誉毀損など公共性の低い情報は削除されやすくなるとの見方もある。欧州を中心に重視される忘れられる権利の芽は日本でも育つのか。
東スポweb
http://www.tokyo-sports.co.jp/nonsec/social/647289/
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