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その上で、実在している18歳未満の女性の写真と描かれたCGがそれぞれ同一だとし、「だからCGは実在する18歳未満の女性を描写したものだ」というのが、検察官の基本的な立証構造です。
これに対して裁判所はまず、「CGは『実際の児童』を見て描いたのではなく、『実在の児童写真』から描いた場合であっても、その写真を忠実に描いて写真で同一と判断できる場合は、そのCGは写真と同じと解すべき」だと言っています。
そして、被写体全体の構図やCGの作成経緯や動機、作成方法を踏まえつつ、特に被写体の顔立ち、それから性器等(性器や乳首、胸部、臀部など)、児童の権利擁護の観点からも重要な部位について、「CGで描かれた児童の姿が、一般人から見て実在の児童を忠実に描写したと認識できる場合には、その実在の児童とCGで描かれた児童というのは同一性を有する」というふうに判断しています。
ただ前提として重要なのは、児童は実在する児童でなければならず、例えば頭の中で架空の児童をファンタジーとして描き、それがリアリティのあるものであったとしても児童ポルノには該当しません。
裁判所は児童の実在性を大前提にしています。
絵画で実在する児童を描いた場合は?
――もし、描いた手法がCGではなく絵画の場合ではどうでしょうか?
お話しした基準に照らし合わせると、この判断基準はCGだけに適用される訳ではありません。
裁判所は「絵画の場合は、実在するモデルを描く意図であっても、その描いたものが稚拙なために、一般人から見て当該児童と同一と認識できない場合は、写真と絵画が同一と認定しにくい」とも指摘しています。
またCGや絵画を問わず、一般人から見て顔や体全体から輪郭と同一性があると言っても、例えば胸部・陰部を加工するなどして、結局胸部などの特定な部位においてモデルとの同一性が認められない場合がある。
そういう場合になってくると、結局、同一とは認定しにくい、との指摘もありました。
――では、いろんな画像を集めて一人の人物を作り上げた場合は?
コラージュのやり方次第だと思います。
例えば、Xという少女の裸体に他の児童の写真を合成、
または絵を描き加えた場合、実在する児童と認識できない場合には、児童ポルノと指摘する必要はないでしょう、というのが裁判所の見解です。- 0
16/05/07 10:14:51