- 友募・馴れ合い
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1980年12月2日、名古屋市港区に住む金城学院大学英文科3年生・戸谷早百合さん(22歳)が、自宅近くの近鉄戸田駅前から行方がわからなくなった。
早百合さんは家庭教師をやる旨を「中日新聞」の告知板に投稿しており、1日夜にそれを見た男から依頼の電話があり、駅前で待ち合わせていたらしい。
同日午後8時15分頃、戸谷家に「娘さんを預かっている、これは冗談じゃないぞ」と男の声で電話があった。当時両親は不在で、電話を受けたのは早百合さんの弟・N君だった。
午後9時23分、2度目の電話、父親に「明日3時までに3000万円用意しろ。警察に言うと生きて帰れないぞ」と、逆探知を恐れて手短に身代金の金額と日時を指定してきた。
父親はすぐに警察へ通報するが、犯人はその後20回以上にわたって電話をかけ続けてきた。
翌3日午後、
「午後6時までに3000万円を持って蟹江インター近くの喫茶店『師崎』に来い」
と犯人からの指示。
1000万円をカバンに詰めた父親と捜査員が「師崎」で待っていると、そこに再び電話がかかってきた。
「そこを出て、蟹江インターから東名阪高速道路に入り、桑名方面に向かって2つ目の非常電話ボックスに行け」
父親はこの時、「非常電話ボックス」と「電話ボックス」を間違えてしまった。「非常電話ボックス」の中には「ココカラカネヲ シタヘオトセ ゴザイショサービスエリア マデイケ サユリイク」と書かれたメモが入っていたのだが、当然父親がこれに気づくことはなく、犯人との接触はできなかった。
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18/11/22 18:37:41