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感染が広がる麻疹(はしか)について、自治体が公表する情報に地域差が生じている。名古屋市のように患者の居住地や利用した公共交通機関などを詳しく公表する自治体がある一方、大阪府などは大まかな患者情報しか明らかにしない。はしかは感染力が強く、患者の行動経路は感染状況の把握で重要な情報になる。専門家は「国が公表基準を定めるべきだ」と指摘する。
国立感染症研究所が作成したはしか発生時のガイドラインは、保健所が市民や医療関係者に向けて速やかに情報発信するよう求める。患者の行動の公表については「不特定多数の接触者を検出するため、行動経路や時間を公表する方法も検討すべきだ」とするにとどまり、自治体によって対応が異なる原因となっている。
大阪府は、感染が報告された大まかな地区や患者の年代などは公表するが、推定される感染源や利用した交通機関などは原則として明らかにしない。
同府箕面市立病院は1月22日、感染者が複数出たため「病院名を公表した方がいいのではないか」と池田保健所(池田市)に打診した。しかし、同保健所は「不特定多数の感染の恐れがなく公表基準に満たない。公表すると損をする人がいる」として公表しなかった。
大阪府の豊能(とよの)地区(3市2町)では、2月10日までに16人の感染が報告された。同地区の病院長は「どの範囲で感染が広がっているのか、保健所の情報だけでは分からない」と指摘。「はしかの初期症状は風邪と似ていて、診断は難しい。感染者の行動経路などの情報がないと鑑別にはしかを入れるか悩む」と話す。受け入れ準備や院内感染予防のため、医師間で連絡を取り、感染状況の把握に務めているという。
府医療対策課は「個人情報の観点から個別事案の公表はできない」とする。14日、はしかと診断された女性が新幹線で新大阪―東京駅間を往復したと公表したが、通勤で地下鉄を利用した場合は公表しない方針。「地下鉄は乗車時間が短く、頻繁に扉が開き換気されるなど、新幹線より感染リスクは低い」と説明する。
一方、岐阜県(感染者数5人)や名古屋市(同6人)は、利用した公共交通機関や時間帯など患者の行動を詳しく公表する。同市感染症対策室は「中途半端な情報だと逆に不安をあおる恐れがある。分かる限りの情報は出すようにしている」という。
大阪大の朝野(ともの)和典教授(感染制御学)は「保健所の裁量が認められているため、責任を負いたくない保健所は個人情報保護を優先し、公表を控えがちだ。個人情報への配慮も含め、マニュアルを統一する必要がある」と指摘している。
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