【ICT×人で最大限のパフォーマンスを】個別指導塾のあり方を変えるスタディクラブ与野校にインタビュー

塾インタビュー

「どこも一緒」「違いがわからない」といったイメージを持たれがちの既存の個別指導塾の形式に、ICTを取り入れ新しい個別指導を提供する「スタディクラブ与野校」。講師の力だけに頼らないスタイルを確立し、安定した講師採用がしづらい地方塾の未来のロールモデルともなっています。常に満席状態が続いている、新しいタイプの個別指導塾を展開する代表の岡元先生にお話をうかがいました。

お話をうかがった先生

岡元 真人(おかもと ちかひと)先生
study-clubworks代表
大手企業塾にて複数校舎の教室長を長年務め、新規事業開発に携わる。
企業在籍時より、事業開発管理と現在のICT教育を中心にした個別指導モデル「スタディクラブ」の校舎運営を兼務し、「授業!受けホーダイ」の自立自学型の授業運営モデルを構築したのちに、同事業にかかわるすべての商標、営業権を承継し、現在に至る。
複数校舎の直営展開にむけての準備とFC展開に向けての教室運営マニュアルの作成を現在精力的に行っている。

閉塞感のあった個別指導塾にICTを使って風穴を開ける

ーー本日はよろしくお願いします。まずはスタディクラブを開塾した経緯を教えてください。

2016年11月に埼玉県さいたま市浦和区上木崎でスタディクラブはスタートしました。現在は私がオーナー兼塾長を務めていますが、開校当時、私は大手の企業塾に勤務していました。その塾の新規事業として、これまでにない新しい形の塾を社内で発足させよう、という話が持ち上がったのがこの塾の始まりです。

個別指導塾に関しては、「どこも一緒」「違いがわからない」というイメージを持っている保護者が多く、時代の流れと共に私自身も行き詰まりを感じていました。そんな既存の個別指導塾のスタイルに風穴を開けたいということからスタディクラブは生まれました。

人の力だけに頼っていた個別指導塾のあり方は限界に近づいている

ーー既存の個別指導型のスタイルに行き詰まりを感じていた、とおっしゃいましたが、具体的にはどこに感じていましたか?

これまでの個別指導塾は、指導の質が講師によって決まるものでした。もちろん、それが悪いとはまったく思いません。ただ、これからはICTをもっと積極的に取り入れて、新しい勉強の仕方を構築し、子どもにとっても授業が受けやすい、成績が上がりやすい、というスタイルに変わっていかなくてはいけない、と思っていたのです。

個別指導塾を支えているのは講師です。その講師のほとんどは大学生というのが現状です。子どもに勉強を教える立場である大学生は、近年の大学受験事情の傾向として、7〜8割の大学生は推薦入試で合格を得ています。昔のように、たくさんの時間を勉強に費やし、「受験戦争を勝ち抜いてきた」という学生は実は少ないのです。

学力に自信のない学生は、個別指導塾の講師をこなせる自信もないし、講師という仕事に興味を持ちません。自信を持って子どもたちに勉強や、勉強の楽しさを教えることができないからです。このように学力レベル、教務レベルの低い大学生講師が増えると、当然個別指導塾としての教務レベルも下がっていきます。そこに危機感を覚えていました。

ーーとすれば、少子化が進んでいるので塾側も優秀な学生の講師を獲得することは、この先さらに難しくなっていくのではないしょうか?

そうですね。まだ首都圏には優秀な学生が集まってくる傾向にあるので大丈夫ですが、地方はすでに危機を迎えています。優秀な学生は都会に出ていきますから、地方にいて学力レベルの高い大学生講師を見つけることは至難です。首都圏と地方で塾のレベルが開いていくと、教育格差が生まれます。話は戻りますが、私が新しいタイプの塾を立ち上げるとなったとき「教育格差をなくす」ということも大きなミッションでした。

教育格差をなくすための「3つの柱」

ーー新しいタイプの個別指導塾「スタディクラブ」ですが、具体的にどのような方法で学習を進めていくのですか?

スタディクラブの教育の理念には、3つの柱があります。

まず1つ目は「勉強量の担保」です。たとえば、これまでの個別指導塾だと、保護者は塾の先生から「この勉強量ではなかなか成績は伸びません」と言われると、コマ数を増やさざるを得ませんでした。そうすると費用というものは青天井になります。それが教育格差を生みます。「費用が払えない人は教育が受けられない」ということになりますから。

通える時間帯を選んで授業を受けられる

そうならないために、当塾では「授業!受けホーダイ」というシステムを作り、コマ制度を廃止しました。このシステムは名前の通り、週何日通っても月謝が一定であるというシステムです。いまたくさんの生徒に通っていただいているのも、このシステムが需要に合致したのだと思っています。また今後の校舎展開においては、ダイナミック・プライシング(消費者の需要と供給に応じて価格を変動させること)の構想を取り入れた月謝形態も検討しています。教育格差を無くすというからには、当然の取り組みになると考えています。

2本目の柱は「質の担保」です。生徒それぞれに合った「質の高い」学習法を提供します。まず、標準的な学力を持った生徒には、ICTのツールを活用して、適宜、的確に指導指示をICTコンテンツ上でも管理しながら学習を進めてもらいます。一方で標準よりすごく上、すごく下の生徒は、ICTコンテンツ内の指示だけではカバーしきれません。ICT教育コンテンツ内の指示を受けながら、さらに人、すなわち講師がサポートをします。

人のサポートが必要な生徒には人がサポートを行い、必要以上の人によるサポートが弊害になると思われる生徒にはICTツールによる学習を自分で進めてもらう、という考えのもと運営することで、定額制の月謝形態を維持しながら、質の担保を実現しました。

3本目の柱は「管理と伴走」。生徒一人ひとりの学習状況を、客観的なデータで把握するのが「管理」です。その生徒がどこまで進んでいて、この先何をしなくてはいけないのかを分析するには、やはりICTツールが便利です。

これまで人の手で大雑把に行ってきた学習の進捗具合の管理や、苦手な分野、間違えやすい分野の分析をICTに任せます。そのデータを見て、その生徒に合った適切な指導を判断するのは講師の役目です。当塾では講師に対する研修をしっかり行い、ICTが分析した個人の学力を講師が的確に読み取れるようにしています。そのデータをもとに、講師は生徒と「伴走」します。「伴走」とはモチベーションの維持や、生徒の承認欲求を満たしてあげることなど、メンタル面のサポートの総称です。

必要なときに必要なレベルで手を差し伸べるから効率よく勉強ができる

ーー個別指導塾と聞くと「講師1対生徒1〜2人」という形が基本だと思いますが、スタディクラブはそのような形態ではないのですね。

その通りです。既存の個別指導塾は、講師1人が生徒1〜2人に指導を行う形が主流です。しかし、生徒が勉強をしている間、講師が必要なタイミングというのは、実はあまり多くありません。そう考えると、講師がいる必要のない時間にまでお金を払っている、ということになります。それが既存の個別指導塾のデメリットの一つです。

ホームページに記載していますが、当塾は「生徒何人に対して講師何人」という仕組みになっていません。それよりも指導効率を大切にしています。ICTツールを使った効率的なシステム作りをすることで、極端な話にはなりますが、講師1人で10人〜20人の生徒を見ることもできます。先ほど言った通り、多くの生徒は基本的にICTツールだけで学習を進めることができますし、講師が常に必要でないことの方が多いのです。講師の手助けが必要な生徒に対してのみ講師が対応するため、マンパワーがかかりません。これは、講師の労働環境を整える要因にもなります。過剰な残業や、休日でも出勤しなければならないなどといったことをなくし、教育における労働環境を限りなく健全にしていくこともスタディクラブでは重要な取り組みとなっています。

もちろん既存の個別指導のよさも兼ね備えています。入塾前の相談会や面談では、スタディクラブの授業の受け方を丁寧に説明するようにしています。そして、しっかりと授業が受けられるかどうかを相互確認するために、体験授業は1週間以上受講していただきます。

ーー学力がずば抜けて高い生徒と、ややついていけない生徒、そこに講師の力を注ぐことで効率よく学習を進めているんですね。それでは、多くの「平均的な生徒」はどのように学習を進めているのでしょうか。

学力の差によって「授業を受ける量」と「問題を解く量」が違う、と考えていただくといいかもしれません。「平均的な生徒」と一言にいっても全員が同じではないですし、講師の力が必要な部分はそれぞれあります。

たとえば講師と生徒間のコミュニケーションにおけるツールとして、当塾では、生徒全員に「生徒ファイル」というものを作っています。講師は、そのファイルを回収するときや宿題を出すときに必ず生徒に話しかけるようにしています。それ以外にも、自分から質問にくる生徒もいれば、その場でそっと手をあげる生徒もいます。また、最近では「声をかけてほしくない」という生徒も多いです。気が散るし、考えが途中で途切れるのがイヤ、というのが理由です。講師も生徒ひとりひとりの現状を見極めて、今手を差し伸べることを求められているのか、むしろ声をかけずに集中させたほうがいいのかを判断しています。

学習の「量」を確保できる「授業!受けホーダイ」

ーーユニークなのが、「授業!受けホーダイ」という仕組みです。

これまでの個別指導塾は、1コマいくらというシステムでした。その金額設定だと、中高生の場合5科目すべて受講すると授業料が高額になり、多くの生徒が「英語と算数だけ」などと、科目を絞らざるを得ませんでした。スタディクラブではそれを廃止。

「授業!受けホーダイ」にすることで、学習量の確保を可能にしました。生徒の通塾スケジュールは、面談などをして決めていきます。そして、宿題の管理、無遅刻、無欠席、勉強に向かう姿勢など、塾のルールを守ってくれることを条件に「授業!受けホーダイ」のメリットをおおいに活用していただきます。

ーーたくさん通う生徒にとっては、価格は安くなりますよね。

当塾は、他塾と比べて通塾継続率が高いのが特徴です。ありがたいことに、それだけ満足度が高いということで、その満足度のなかには「価格への満足度」も入っていると思います。「価格が安い」と言っていただいている保護者も多く、それは素直にうれしいですね。ただ、私個人的には、まだまだ安くできると思っています。特に収入格差なども大きい地方では、もっとICTを駆使することで、さらに低価格で質の高い学習を提供できると思っています。

≫スタディクラブの月謝・時間割

ーー小学生から高校生まで幅広く受け入れられていますが、現在の生徒の人数はどのような割合ですか?

高:中:小=2:6:2といった感じです。数年前までは小学生は1割程度だったのですが、コロナ禍を経て、小学生にとってのICTのハードルがぐんと下がったように思います。今は小学4年生の保護者からのお問合せがすごく来ますね。私立中学の受験が目的という方もいますが、公立中学に進むための準備をしたいという保護者からの問い合わせも多くいただいています。

ICT×人の相乗効果で成績アップが叶う

ーー導入しているICTのツールについて、簡単に教えてください。

小・中・高校生で、使用するツールは分かれています。

まず高校生向けでは、受験対策には受験対策講座が豊富な「べリタスアカデミー」、学校の授業準拠型の生徒には分からない問題を効率よく、自分で調べられるICT授業「学びエイド」を使っています。

中学生は、プロ講師による授業が受けられる「Assist」や問題作成ツール「aim@」を、小学生は「Assist」の小学生コース、「aim@」のほか、オンライン英会話「CHATTY」や「SRJ速読講座」などを提供しています。小学生の速読講座は人気が高く、7〜8割の小学生が受講しています。

たくさんのICTツールを使っていますが、一つとして内容がかぶるものはありません。それぞれに良さがあって、保護者や生徒から信頼の厚いものを使用しています。逆にいうと、ICT授業に関して「当塾ではこれを使い続けます!」という信念のようなものはないんですよ(笑)。サービスとは、こちらから押し付けるのではなく、生徒側やその地域で必要となるものをどれだけスピーディに提供できるか、ということだと考えています。無論ですが、成績が上がることが大前提です。

ーー「ICT×人」を追求しているんですね。

ICTだけで素晴らしい教育を受けられる時代には、まだ到達していないと考えています。どのツールにも欠点や補えない部分があるので、最終的には必ず人が補わないといけません。

受験対策をしている高校生のなかには、ICTを使っていない生徒もいます。そういう生徒に、スタディクラブが提供できるのは「場の価値」だと思っています。相談できる先生がすぐそばにいること、進路に悩んだときに的確なアドバイスがもらえること。また、必要になればいつでもICT授業を受けられる、という安心感も当塾の価値だと思っています。

ーー夏休みなど長期休みには料金は変わりますか?

長期休みとなると、通常の2倍〜3倍の時間開校しているので、そのぶん生徒が通う時間も増えます。通常授業料にプラスして費用も上乗せにさせていただいています。その代わりにこの夏は、生徒全員に「英検対策コース」の受講費用を、代表の私の一存で提供しています。授業料を値引きするのではなく、無料でプラスアルファのコースを提供するのが私のこだわりです。一次試験対策だけでなく、二次試験対策も塾内でできるので、大変好評をいただいています。

生徒も講師も継続率が高いクリーンな塾運営

ーー講師採用の基準や、在籍している講師の特徴について教えてください。

これまで外部から講師募集をしたのは1回だけで、在籍している講師は卒塾生がほとんどです。卒塾生が7〜8割。彼らの紹介で講師になった学生が2〜3割ですね。多くの講師が長期間働いてくれています。

採用に関しては、「人を思いやれない人、相手に共感できない人」は絶対に採用しません。人と関わる仕事なので、これは学力基準以前の問題です。学歴はほぼ重視していません。今年も、中2から通っていて、いま高3の生徒が卒業したらうちで講師をすることに決まっています。スタッフ同士で指導法を指摘し合ったり、私も時々スタッフを集めて打ち上げをしたりと親睦を深めています。

ーー集中して勉強に取り組める教室づくりとして、こだわっている部分はありますか?

広くて落ち着くスペースだと、相乗効果が高まらないという思いから、座席の配置はあえて狭めにしています。適度に狭いと、隣や後ろの人が一生懸命勉強している空気感が感じ取れますし、集団塾のような、競争心も芽生えてきます。広すぎたり、別室を設けたりすると、講師の目も行き届きにくくなりますしね。

他には、生徒の机の周囲に不必要な掲示物などを貼らないようにしています。キャンペーンのお知らせや友人紹介のビラなど、勉強に関係ないものは、別の場所に掲示するようにしています。

また、教室で常に音楽がかかっているのも特徴かもしれません。かけている音楽は、環境音楽やジャズやクラシックなど、集中を妨げないもの。私自身、静かすぎるのがあまり好きではなくて。無音だと、隣の鉛筆のカリカリ音などが気になったりしますから。それらが気にならなくなる程度のボリュームで音楽をかけています。

ーーさまざまな模索を繰り返し、今ではスタディクラブ与野校は満席状態が続いているとうかがいました。

本当に模索の毎日でした。最初の1、2年はうまくいきませんでした。それが悔しくて、これまでの個別指導の概念を自分から取り除くことを意識して、いろいろなところを改善していきました。そうして4年前ぐらいから、秋口には毎年満席になるような活気のある学習塾になってきました。

ーー最後に、今塾探しをしている人にメッセージをお願いします。

「塾はすぐに決めないほうがいい」というのが私の持論です。友達が行っているからうちの子も、といった理由ではなく、まずはどういう形態の塾が自分に子どもに一番合うのかを考えてほしいですね。そして、お子さまが「この塾なら通ってみたい」と思える塾を見つけることが大事で、そうしてさまざまな塾を検討しているなかで「この塾はどうかな」と思われたら、ぜひ私どもスタディクラブに一度話を聞きに来てほしいです。もちろん勧誘したりはしませんよ(笑)。

当塾は「一緒に頑張ろう!」というだけではなく、「君がやる気があるのなら、全身全霊でサポートします」というスタンスです。教えっぱなしではありません。ぜひ「授業!受けホーダイ」の話だけでも聞いてもらえるといいと思います。

ーー本日はありがとうございました。

取材協力:スタディクラブ

〈取材監修:塾シル〉
〈聞き手:延藤素康〉
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