ひと昔前に比べると、子どもの習い事は学習塾からスポーツ、芸術まで多岐にわたるようになりました。習い事の種類が増えたために、子どもに何をさせたら良いのかと悩んでしまうママも少なくありません。
そこで今回、先輩ママにアンケートを実施。総勢400人以上の先輩ママが、現在通わせている習い事や通わせて良かったと思っている習い事について回答してくれました。子どもの習い事選びに迷っている方は、ぜひ参考にしてください。
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人気の習い事ランキング
今回ご紹介するアンケートは、ママスタユーザー計432人に対して実施したものです。その結果をもとに、人気の高い習い事を、総合・男子・女子の3部門に分けて紹介します。
なお、本アンケートは複数回答可としています。2つ以上の習い事をしている場合は、それぞれに1票ずつ入っていることをご理解ください。
総合ではスイミングが1位
男女の習い事を合算した総合ランキングでは、全62種類もの習い事がランクインしました。そのなかでも人気が高い上位10位までの結果が、以下のとおりです。
いわゆる芸術・文化系に属する習い事が「ピアノ」「習字」の2つとなる結果になりました。また、スポーツ系と学習系が人気を二分している様相も見て取れます。
スポーツ系と学習系の2種類は、学校の授業や社会的な関心が関係している可能性があります。しかし、そんななかにあってもピアノと習字は人気を誇っており、昔から習い事の王道と言われるようなものも人気があることがわかります。
さらに、1番人気のスイミングは、男子1位、女子2位という人気ぶりです。その背景には、健康意識の高まりのほか、集中力やメンタルを養う効果への期待もあるようです。そうして養われた強いメンタルが、受験の時期を乗り越える際に発揮されるため、学習系の習い事と相性が良いともいわれているのです。今回行ったアンケートでも、「学研教室・くもん」や「進学塾」とあわせてスイミングをしている子どもも少なくありませんでした。
男子はスポーツ系と学習系が半分ずつ
続いて、男女それぞれの習い事ランキングトップ10を見ていきましょう。まずは、男の子を持つ先輩ママのアンケート結果です。
身体を動かすスポーツ系よりも、学習系のほうが上位にある傾向です。学習指導要領の改訂に伴い、学校での教育内容が変化したことから、学習塾などへ通わせるママが多くなっているのではないでしょうか。特に、英会話に関しては2020年度より実施されている英語必修化の影響が表れはじめていると考えられます。
全体的に学習系が上位にある理由としては、新型コロナウイルス感染拡大による休校などにより発生した授業の遅れも関係している可能性もあります。オンラインによる授業が展開されているものの、休校や短縮授業による不安は尽きません。結果として、学習系の習い事で補填しようと考える保護者が増えていると考えられます。
女子のランキングでも学習系が上位
女子に限定した習い事の人気ランキングでも、学習系が上位を占めています。しかし、男子と違い、習い事の王道ともいえるピアノも変わらぬ人気を誇っています。
女の子の習い事では、ピアノが1位という結果になりました。2位以降は、男子のランキングと大きな違いはなく、学習系の習い事に人気が集中しています。背景にあるのは、男の子と同じく学校の学習への不安や学習指導要領の改訂が関係していると考えられます。
一方で、男の子ではランキングに含まれなかったダンスやクラシックバレエといった習い事もランクインしています。中学校の体育のカリキュラムに、新たにダンスが組み込まれたことが要因かもしれません。それ以外にも、ダンスグループのアーティストやK-POPの流行などの影響もあるでしょう。
このように、男女ともに時代の流れや社会情勢、学習指導要領の改訂などが影響し、習い事が多様化していることがわかります。なかでも、学習系に関する習い事は非常に人気が高く、学業に対する意識の高さがわかる結果となりました。
子どもを通わせて良かった習い事ランキング
習い事をしてはいるものの、それが本当に通わせて良かったと思っているかは別です。次は、「子どもに通わせて良かった習い事」を、総合・男子・女子の順番で紹介します。
スイミングは満足度もNo.1!
「通わせて良かった習い事」の総合では、実際に通っている習い事とは少し異なることがわかりました。ランキングを見てみましょう。
実際に「通わせている習い事」のアンケートでは回答者の過半数を占めていたスイミングですが、「通わせて良かった」と感じているママは全体の1/3以下という結果になりました。スイミング以外も同様に、実際に通わせている方の票数と、通わせて良かったと思っている方の票数に差がある状態です。この結果から、通わせている習い事とその習い事への満足度が、必ずしも比例しないことがわかりました。
ただし、上位10位のうち、2つの芸術・文化系の習い事を除いた大半がスポーツ系と学習系に分かれている点は変わりません。満足度を測るには、通っている本人が楽しいと思っているかどうかのほかにも、きちんと目に見えた成果が出ているかも基準となります。そのため、家庭で成果を見出しにくい習い事の満足度が低くなっている可能性もあります。
また、効果が出ているかどうかは、その習い事に通っている期間も関係するでしょう。その結果、習っている人数に対して満足度が比例しないという、上記のような結果になったのではないかとも考えられます。
男子はスポーツ系と学習系が上位5つを占める
続いて、男子の通わせて良かった習い事ランキングトップ10の結果です。総合ランキングと同じく、通っている習い事の満足度が必ずしも高いわけではないという結果になっています。
男子の習い事では、総合ランキングには見られなかった傾向が表れています。上位5つの習い事のうち、3つがスポーツ系となっています。学習系が2つで、芸術・文化系は5位以内にはありませんでした。男の子を育てているママからすると、スポーツに対して満足度が高いことがわかります。
一方で、芸術・文化系であるピアノや習字は控えめな結果に。総合ランキングと比較しても、通わせて良かったと思っているママは少ないようですが、ピアノよりも野球のほうが満足度は低い結果となっています。
いずれにしても、芸術・文化系の習い事の満足度はそれほど高くはなく、学習系やスポーツ系への満足度が高いことがわかりました。5~12歳までの子どもは運動神経が発達する「ゴールデンエイジ期」と呼ばれるタイミングでもあります。昔からの「男の子の習い事=スポーツ」というイメージもあり、身体を動かしてくれることにまずは満足しているママが多いのかもしれません。
女子もスポーツ系が高い順位に
女子の通わせて良かった習い事ランキングでは、やや順位は異なるものの、スポーツ系が上位5つのうちの3つにランクインしています。男女問わず、スポーツ系の習い事に人気が集中する結果になりました。
実際に通っている習い事では、スイミングよりピアノのほうが多かったものの、実際に通わせて良かったと思っているかどうかでは同数となりました。また、男子同様、女子の上位5つの習い事もスポーツ系という結果になっています。ピアノや習字の順位は男子より高いものの、男女ともにスポーツ系の習い事の人気が高いことがうかがえます。
男子のランキングでも触れましたが、一般的に5~12歳までの子どもは運動能力を高めるのに重要な時期とされています。提唱する専門家によって多少意見は異なるものの、おおむねこの年齢の間に運動能力が完成するという見解で一致しているのが現状です。そのため、幼少期から男女問わずスポーツ系の習い事をさせるママが多いのではないでしょうか。
みんなが通っている習い事を一覧で紹介!
上位10位以降の習い事には、どのようなものがあるのでしょうか。続いては、アンケートに回答していただいたママが、子どもに通わせている習い事についてジャンルごとに紹介します。
スポーツ系
男女ともに習い事の上位を占めていたスポーツ系ですが、今回のアンケート結果では次のようなスポーツに通わせているママがいました。
- スイミング
- 体操
- サッカー
- ダンス
- 空手
- クラシックバレエ
- 野球
- テニス
- バスケット
- 剣道
- 卓球
- 少林寺拳法
- バレーボール
- ボルダリング
- ラグビー
- ドッジボール
- チアダンス
- 新体操
- バドミントン
- 陸上
- ボクシング
上記は、男女合わせての結果ですが、今回の結果から男女ともに幅広いスポーツ系の習い事をしていることがわかりました。
全体としては、オリンピックなどの国際競技大会の種目に入っていたり、日本人選手の活躍がメディアで報じられたりするようなスポーツの習い事に通っている人数が多い傾向にあります。スイミングや体操は、2021年に行われた東京オリンピックの影響を受けて通わせているママが増えている可能性も考えられるでしょう。
また、スポーツ系の習い事は、学習指導要領の改訂などの影響もあり、順位の変動や通う子どもの数が大きく変化する可能性を秘めています。
学習系
学習系の習い事は、進学塾や英会話を中心に、次のようなものがありました。
- 学研教室・くもん
- 進学塾
- 英会話
- そろばん
- リトミック
- 通信教育(進研ゼミ・こどもちゃれんじなど)
- プログラミング
- 個人塾・個別指導塾・家庭教師など
- 幼児教室・知育教室
- 科学教室
新型コロナウイルス感染拡大に伴う授業時間の短縮や休校により、失われた学習機会を取り戻す目的で学習系の習い事に通わせているケースがあります。また、学習指導要領の改訂で新たに組み込まれた授業に対応するために、プログラミング教室や英会話に通わせるママも少なくないようです。
注目すべきは、学研教室・くもんといった、子どもが自主的に取り組む勉強方法の教室が上位にあることです。どちらも未就学の時点で通うことができることから、小学校入学前から基礎学力をつけさせたいというママに支持されていると思われます。学校に入学してから勉強で苦労しないように、早くから学習系の習い事に通わせるママの気持ちがわかります。
芸術・文化系
ランキングでは、少数派であった芸術・文化系の習い事ですが、それでもアンケート全体を見渡すと以下のようなさまざまな習い事に通わせているという回答がありました。
- ピアノ
- 習字
- 絵画
- バイオリン
- ミュージカル・劇団
- 和太鼓
- 合唱・声楽
スポーツ系・学習系の習い事と比べると数は少なく、実際に通っている子どもの人数も決して多くはありません。しかし、音楽や美術に関わる習い事は、昔から根強い人気を誇っていることがわかります。ピアノはその代表的な習い事でしょう。
芸術・文化系の習い事に関しては、両親が芸術関係の仕事をしている、あるいは趣味として楽しんでいるというケースが考えられます。また過去に、両親のどちらかがその習い事をしていたという可能性もあるでしょう。
いずれにしても現代においては、一部を除いてかなり少数派な習い事となってしまっている傾向です。
【珍しい】スポーツ系
昨今の習い事は多様化しており、比較的なマイナーな習い事に通っている子も少なくありません。今回のアンケートでも、通わせている人数自体が少なく、珍しいものが多くありました。ここでは、1票のみ入ったものを「珍しい」習い事として紹介します。まずは、スポーツ系の珍しい習い事です。
- 合気道
- カンフー
- 乗馬
- 基礎スポーツ
- カポエイラ
- eスポーツ
- スキー
- フラダンス
- テコンドー
- チアリーディング
- バトントワリング
- 銭太鼓
- 走り方教室
- なぎなた
カンフーやテコンドー、なぎなたなどの格闘技・武道系がある一方、eスポーツのような時代を反映した習い事までさまざまな習い事が見受けられます。
スポーツ系の習い事は、国際大会での日本人選手の活躍などが大々的に報道されたことをきっかけに、習い事としてはじめるケースも少なくないようです。日本人選手が活躍するようになり注目度が高まると、習わせようと考えるママと習いたい子どもが増えるようです。
そうした意味では、乗馬やeスポーツ、スキーなどを習わせようか検討する方も時代に合わせて増減する可能性があります。今は珍しいと言われる習い事でも、時代や流行とともにメジャーな習い事になるかもしれません。
【珍しい】学習系
学習系の習い事にも、珍しい習い事がいくつかありました。
- 野外体験学習
- 話し方教室
野外体験教室は、キャンプをはじめとする野外活動の基礎知識や実技を学ぶ習い事のひとつです。ボーイスカウトやガールスカウトと言った方がしっくりくる方も多いかもしれません。また、大人がスキルアップのために通うイメージがある、話し方教室に通っている子どももいました。
両者に共通するのは、日々の生活で必要になるスキルというよりも、将来的に子どもが自立した生活を送るために必要なスキルを学ぶために通わせている可能性がある点です。自立した生活やコミュニケーションは大人でも苦労する人が少なくない分野です。幼いころから習い事という形で身につけさせることで、将来の不安を少しでも軽減しようと考えて、通わせているのかもしれません。
【珍しい】芸術・文化系
芸術・文化系の習い事は、他のジャンルの習い事とは少し違った傾向があります。今回のアンケートで数が少なく、珍しい習い事に入ったものも例外ではありません。
- 音楽教室
- マリンバ
- 料理
- 硬筆
- 将棋
- 生け花
- 日本舞踊
スポーツ系や学習系の習い事が、世相や学習指導要領改訂の影響を受けている可能性が高いのに対し、芸術・文化系の習い事には、あまりその傾向が見られない特徴があります。テレビなどでよく報道されていた将棋も、習い事として通わせているママは少なく、あまり大きな影響を受けていないと考えられます。
代わりに、日本の伝統芸能やあまりメジャーではない楽器を習わせる傾向がみられました。アンケート全体を見渡しても、芸術・文化系の習い事の絶対数が少ないことも関係していると考えられます。いずれにしても、学習系の珍しい習い事同様、学校教育ではなかなか教えてもらえない内容が多く見られました。
先輩ママが子どもに習わせて良かった習い事は?
習い事に通わせるうえでは、ママがその効果を実感することが重要です。習い事の内容や通っている期間によって、その実感ができない場合はあるものの、着実に効果が出ていることを感じているという意見も多く寄せられました。
ここからは、どんな効果から「習わせて良かった」とママが感じているのかを見ていきましょう。
スイミング「水嫌いの克服と体力づくり」
通わせている人数も満足度も高いスイミングですが、習わせて良かったという声は大きく2つに集約できることがわかりました。
スイミングは、家庭内ではなかなか教えることができない種目であり、小学校の夏休み前には体育の授業で実施する種目でもあります。男女問わず、多くの子どもが通っている習い事として、高い人気を博しています。
特に、水への恐怖心の克服と体力づくり・基礎体力向上を良かった点に挙げているママが多くいました。幼いうちから通わせることで水への恐怖心をやわらげ、水難事故などの際に自分の命も守れるスイミングを学べるのも大きなポイントのようです。また、もともと体が弱かった、何かしらの持病を抱えていた子どもが、スイミングに通うことで克服できたという声もありました。
ほかにも、スイミングスクールでのクラス分けに対して昇級を目指したり、新型コロナウイルス感染拡大の影響で中止になっている学校の授業をスイミングで補てんしたり、という点が良かったという意見もありました。
ピアノ「学校での活躍の場を増やせた」
小学校1年生~大学生まで幅広く支持されている習い事が、ピアノです。主に、女子がボリュームゾーンの習い事ですが、ママが習わせて良かったと思うポイントは、日常生活よりも学校の授業に関係していることがわかります。
音楽会などの学校行事で、ピアノや音楽を習っていない子どもよりも活躍できる場が多いことをメリットに感じているママが多数いました。合唱・合奏などで必要とされるピアノ伴奏ができると、音楽の成績がプラスに評価されることもあるかもしれません。
また、そもそも音楽が好きという子どももおり、楽しく通うことができたという意見もありました。ピアノ教室によっては、市区町村などで開催されるコンクールへの出場を目指すところもあるため、そういったところで子どもの成長を感じるママも少なくないようです。
学研教室・くもん「学習習慣がついて、成績も上がった」
常にランキングの上位に位置していた学研教室・くもんには、学習習慣がついたとの声が寄せられたほか、別の効果が出ていることを実感している意見も見られました。
学研教室とくもんはよく混同されますが、少々性質が異なります。大量の問題を反復学習するくもんに対し、学研教室では学習指導要領を網羅した教材を使い、用意された学習を行います。どちらも学力の向上を目的としており、集中力を養ったり学習習慣を身につけたりする意図・目的はほぼ同じです。
相違点には、くもんが算・国・英のみ対応なのに対し、学研教室はそれらに加えて理・社、ロボットプログラミング、科学教室などさまざまな教科を受けられる点が挙げられます。それぞれが無学年方式であるため、子どものペースで取り組むことができる点もポイントです。特に、学研教室は学校で学習する基礎はもちろん、応用的な内容まで対応していることから、集中力を養うとともに学力向上にコミットできる点で、通わせて良かったと感じているママも多く見受けられました。
男女や年齢問わず、自分のペースで学習を進められる点は大きなポイントといえるでしょう。
進学塾「希望の学校に進学できた」
学研教室・くもんとは別のベクトルで通わせて良かったという習い事に、進学塾があります。学校の授業を補てんするよりも、成績アップや進学という明確な目的を持っているからこそ感じられた良かった点が多く見受けられました。
進学塾は学研教室・くもんと違い、学校の授業を先取りする形式であることが主流です。進学塾で学んだことと同じ内容を学校の授業で見たときに、「あ、これ知っている!」という状態を作り出すことで、授業の理解を深めていきます。
通っている年齢も小学校高学年~高校生までとさまざまです。受験の内容や学ぶ科目にもよりますが、より偏差値の高い学校に通わせたいと思っているママが通わせるケースが多いようです。結果が出るまでに時間はかかるものの、希望の進学先に合格できれば、親子ともに達成感もひとしおでしょう。
英会話「親が教えられないけど、必要な力だから」
今回のアンケートでも多くの回答者を得られた英会話。その背景には、小学校で英語教育が必修化されたという背景があります。また、英会話は教えたくても教えられないというママの意見も見られました。
英会話を習わせているママのなかにも、英語が苦手という方は少なくないでしょう。小学校での英語必修化に伴う英会話をはじめるケースもありますが、加速するグローバル化で子どもが将来困らないためにと考えているケースも少なくないようです。
また、思わぬところで英会話に通わせて良かったと実感したママも少なくないことがわかりました。諸説ありますが、語学は幼いうちから身につけることで、その後の語学学習の基礎ができるといわれています。インターネットやSNSで簡単に世界とつながれる昨今、学校の必修化も含めて英語そのものの需要が拡大しているからこその結果といえそうです。
先輩ママが子どもに習わせたけど無駄になったかも…と思う習い事は?
習い事に通わせたものの、あまり効果を感じることができなかったケースもあります。どんな習い事にどのような理由で無駄になったと感じているのかというママの意見を集めました。
習い事全般「本人のやる気が感じられない」
習い事に通わせても無駄になったと感じる根底には、通っている本人のやる気が関係している声が挙げられました。
周囲の友だちが通っているからという理由だけでは、なかなか続かないケースも少なくありません。習い事には月謝をはじめとする費用がかかるため、効果を見込めずに辞めてしまった子もいます。
もっとも多かったのが、本人のやる気がないという意見です。「みんながやっているから」と通わせても、長続きしないようです。できれば本格的に通う前に体験などを挟みつつ、子どもの感想にも耳を傾けるとある程度解消できるかもしれません。
学習系の習い事に多かった「身についていない、結果が出ない」
主に学習系の習い事で多かったのが、「身についていない」「結果が出ない」という意見です。学習系の習い事の成果は、家でも現れやすく、親が感じ取りやすいという特徴を持っています。それゆえに、効果が出ていない場合もすぐにわかり、結果的に習わせて無駄だったと感じてしまうケースがあります。
習い事の成果が出るか否かは、実際に通わせてみないとわからない側面があります。学習系の習い事は、学校の成績やテストなどですぐに把握できるため、結果に結びついていないことがすぐにわかります。
また、スポーツ系の習い事でも、子どもと公園で遊んでいる際や体育の授業などを通して力がついていないのがわかるケースもあります。さまざまな要因はあるものの、結果が出ないことを理由に無駄だったと判断するママも少なくありませんでした。
スポーツ系の習い事特有の「けがや痛みを怖がってしまった」
スポーツ系の習い事のデメリットともいうべきポイントが、練習中のけがや痛みに対する恐怖心です。教室側も安全に配慮しているものの、けがをしてしまったことで辞めてしまった習い事があるという声も見受けられました。
スポーツ系の習い事の場合、入会時にスポーツ保険の加入が義務づけられる場合もあります。補償自体はそれで完結しますが、けがをしてしまうとその習い事に対して恐怖心を覚えたり、自信喪失をしてしまったりする子もいます。通わせ続けるには、けがの療養と当時にメンタルのケアも必要ですが、なかなかうまくいかずに辞めてしまうケースもあるようです。
芸術・文化系の習い事「成績につながらない」
芸術・文化系の習い事では、「成績につながらない」という意見がよく見受けられました。習い事の性質上、仕方のない側面もありますが、学習系やスポーツ系の習い事よりも成果が見えにくいことが、無駄だと感じてしまう原因のようです。
学校の成績に結びつくことが少ないものの、音楽や美術の授業での評価を期待していたと思われる意見が見受けられます。もちろんそれ以外にも期待されていた部分はあるでしょうが、期待していたほどの効果を見込めなかったのかもしれません。
芸術・文化系の習い事は、手先の器用さの向上や音感の訓練など、義務教育で学ぶ勉強とは関係が薄い分野を鍛えるのに適していることが多いです。また、将来音楽大学や美術学校に通わせたいという明確な目的がないと、なかなか習い事に価値を見出せない可能性もあるでしょう。
習い事全般で見られた「先生との相性が…」
習い事全般に見られた無駄になってしまったという意見で多く見られたのが、先生や講師との相性に関する意見です。習い事は人対人でもあるため、相性の良し悪しも重要です。習い事の先生たちとの相性が良くなく、無駄に感じてしまったというケースもあるようです。
教室の形態や指導者の方針もあるかもしれませんが、先生と合わなかったり、信頼していた講師が異動してしまったりで結局辞めさせてしまったというママもいました。なかには、入会前の体験教室などで払しょくできる部分もある可能性はあります。
この意見は、スポーツ系や学習系、芸術・文化系の習い事の3つそれぞれで見られました。人同士であるため仕方のない側面はあるでしょう。これから習い事に通わせようか検討している方は、一度教室の雰囲気とともに先生の人柄などもチェックすると良いかもしれません。
先輩ママが子どもに習わせて苦労した習い事は?
習い事に通いはじめると、子どものスケジュール調整が必要になります。複数の習い事をすることになればその労力も増えますが、それ以外にも習い事を通して先輩ママが苦労を感じたこともあるようです。
次は、先輩ママが「子どもに習わせて苦労した習い事」に寄せられた意見を紹介します。
スポーツ系の習い事に多い「送迎や付き添いが大変」
住んでいる場所にもよりますが、習い事や試合・発表会などへの会場に子どもを送迎するのが大変だったという声が多く上がっていました。また、試合など丸1日費やすようなイベントでは付き添いも発生し、苦労したとの声も寄せられています。
家から距離がある習い事では、子ども1人だけで行かせるわけにいかないケースもあるでしょう。そうした場合、保護者は習い事の時間は家事や育児の手を止めなければならず、それが負担になっていたという声が多数ありました。
また、下のきょうだいがいたりすると、その子と一緒に移動しなければならないことも苦労した理由のひとつとして考えられます。実際に通う子どもだけではなく、送迎するママさんもスケジュール調整が必須です。
小さい子どもによくある「気分が乗らない日は大変」
子どもが小さく、どうしても気分が乗らずに習い事に行かせるために説得したというママさんもいました。小さい子どもに限った話ではないかもしれませんが、今回のアンケートでは、特にこの声が多かった傾向にあります。
子どもの性格や先生の指導法も大きく関係しますが、どうしても子どもの気分が乗らないときは、通わせるところから苦労されたとのことです。実際に教室に行っても、集中して取り組めていないこともあったという意見もありました。
子どもの気分にムラがあるのは、一説には感覚統合が未発達だからという理由があります。脳に入ってくるさまざまな感覚刺激を整理する機能のことですが、子どもが幼いうちはこうした機能が未熟なため、ひとつのことに集中できないことも少なくないのです。あまりにも気にかかる場合は病院で診てもらうと良いですが、年齢を重ねるにつれて感覚が統合されていくとされているため、経過を見ても差し支えないでしょう。子どもが小さい間だけの問題かもしれません。
習い事の宿命?「お金がかかる」
習い事をしていると、毎月月謝がかかります。こうした費用に関する声も複数上がっていました。どのようなものがあったのかを紹介します。
月々の費用に関しては、「お子さんに習い事をさせている先輩ママにQ&A」でも解説していますが、それ以外にも費用がかかる習い事があるようです。遠征や発表会がつきものの習い事の場合、月謝以外に必要な費用にはどんなものが考えられるか、あらかじめ聞いておく必要があるでしょう。
また、今回の意見には直接なかったものの、昇級試験のために費用がかかる習い事もあります。基本的には習い事を始める前に尋ねておくと良いでしょう。
学習系の習い事でよく見られた「家ではしない」
学習系の習い事によく見られた苦労したことに、「家で宿題・学習をしない」というものがありました。宿題以外にも勉強習慣にまつわる苦労がいくつか寄せられています。
学習系以外にもスポーツ系の習い事でもよく見られました。環境の問題も考えられるものの、習い事+αの練習や勉強は、身につけるまで時間がかかるようです。
また、「親が教えられない」という意見もありました。親が教えると素直に聞き入れてもらえずケンカになってしまったり、わかりやすく教えてあげられなかったりと、お悩みを抱えているママも多いようです。
習慣化や本人のやる気を引き出すのは大変なことです。習い事の先生と相談しながらアプローチをしていくと良いでしょう。
習い事をはじめて「家事の負担が増えた」
一部の習い事では、送迎以外の面で家事負担を増やす、もしくはその恐れがあるものもあります。結果的にそれが習い事をはじめたことに対する苦痛につながっているケースもありました。
洗濯やお弁当作り、食事の準備が主な負担になっていることがわかります。また、習い事をはじめたことで、習い事中心の生活になってしまうことが大変という意見も見受けられました。
結果的に、家族の誰かに家事や育児をお願いしなければならないという状態に陥る先輩ママさんも多くいました。習い事による家事負担の増加は、送迎以外にも発生することがあることを覚えておきましょう。
お子さんに習い事をさせている先輩ママにQ&A
お子さんに習い事をさせるかどうか悩んでいる方もいるでしょう。何を習わせているかもそうですが、それ以外にも、習い事にまつわる気になるポイントがあります。
今回のアンケートで、以下の4つの質問を用意しました。それぞれ回答していただいた結果を集計したものを解説つきで紹介します。
- いつから通わせているの?
- いくつ通わせているの?
- 週に何回?
- 月々の費用は?
いつから通わせているの?
「習い事は早くはじめたほうが身につく」という意見があるものの、実際いつから習い事を開始したのかは気になるところです。アンケートの結果は、次のとおりとなりました。
ボリュームゾーンは3歳以上5歳未満の未就学の時点となりました。その後は、小学校1年生で盛り返すものの、習い事をいつからはじめるか悩んでいる方は、小学校入学前からはじめると良いかもしれません。ただし、子どもが小さいと練習の間に付き添いが必要になる場合もあります。
そのほかには、小学校3年生までは習い事をはじめる子どもが一定数いるものの、小学校4年生以上となると一気に少なくなる傾向です。家庭の事情などもありますが、先輩ママさんの意見を参考に、習い事について子どもと相談するのも良いでしょう。
いくつ通わせている?
習い事は、子どものスケジュールや通わせるための費用が工面できるのであれば、いくつ習わせても問題はありません。しかし、あまりにも多すぎると、子どもや家族の負担になってしまいます。では、先輩ママさんは子どもにいくつの習い事に通わせているのでしょうか。
最も多い回答が2つという結果になりました。実際のアンケートを見ても、学習系とスポーツ系の文武両道をさせているママさんや、学習系同士・スポーツ系同士の習い事で複数習わせているケースも見受けられます。
4つ以上になると人数は少なくなり、最高で9つもの習い事を同時に習わせている先輩ママさんもいました。子どもに将来どうなってほしいのかによっても、習い事の数は変わります。しかし、複数の習い事に通わせるのであれば、どれもおざなりにならないように配慮する必要があるでしょう。
週に何回?
ひとつの習い事につき、1週間で何回通っているのか知りたいママさんも多いでしょう。教室の方針や年齢、カリキュラムやコースによって変動するものの、今回のアンケートでは、次のような結果となりました。
ボリュームゾーンとしては1回~3回という結果になりました。たとえば、月・水・金などになっているケースもあるでしょう。4回以上になるとその数は少なくなりますが、それでも数名の子どもは週4回以上習い事に通っていることがわかります。
同じ系列の習い事であっても、教室によって通う曜日や回数が異なることも珍しくありません。習い事全般にいえることですが、受験や大会、コンクールなどの出場に力を入れている習い事は、通う回数が多い傾向にあります。教室によって何を目指しているのかも変わるため、通わせる前に教室の掲げるゴールが子どもに合っているかを検討しても良いでしょう。
月々の費用は?
多くのママが気になるポイントに、「月々に必要な費用」があるでしょう。習い事の内容によって異なりますが、本アンケートで目安となる金額も見えてきました。
上記の結果から、先輩ママさんの約8割は習い事の予算を3万円以内にしているとわかります。それ以上になると、人数はかなり少ない傾向です。逆に5,000円以内の人数も多いとはいえない状況です。これから習い事に通わせようと考えている方は、ある程度の費用がかかることを想定しておくと良いでしょう。
習い事の数や通う頻度によって、費用は大きく変わります。しかし、一応の目安として30,000円以内に収める人が多いと考えておくと良いかもしれません。
子どもの発達心理の専門家にQ&A
習い事に対する意見はさまざまで、専門家の間でも議論が交わされています。子どもの発達のためにといろいろな習い事を家族で検討するのも大事ですが、専門家の意見にも耳を傾けると良いかもしれません。
今回は、奈良県生駒市にある小児科医院「たけつな小児科クリニック」で院長をされている竹綱庸仁先生に、5つの質問をさせていただきました。
Q. 習い事って結局させたほうが良いの?

まず、習い事と一言に言っても、将来を見据えて本格的に習い事をする場合と、子どもの適性を見極めるために習い事をはじめる場合があります。そのため、一概にさせたほうが良い、させなくて良いと言い切ることは困難です。当然、習い事をするにもメリット・デメリットがあるため、それらを総合的に見て判断する必要があります。

私も子どもがおり、2歳からスイミングとバレエを習わせました。しかし、運動系はあまり興味がなかったようで、13歳になる今では、合唱、バレエ、ピアノの習い事を自分自身の意思で継続しています。
私の子どもも小学生時代にトラブルなどで、学校の友達がいなくなった時がありました。しかし、習い事という違うコミュニティに所属していたことで、友達は学校だけにいるのではないと自覚し、不登校にならずに学校に行けたことを考えると、個人的には習い事をさせてよかったと考えています。
Q. いつから通わせるのがベスト?

習い事をはじめる年齢は、子どもに何を期待するかで大きく変わってきます。
たとえば、家族がスポーツの競技者で、子どもも同じように競技者として育てたいと思えば、ある程度運動機能が備わってくる2歳ころから習い事を開始しても差し支えないのではないかと思います。一方、子どもの適性を見極めるため、とりあえず習い事をさせるという場合には、子ども自身がある程度理解しながら習い事をするほうが効果的です。そのため、幼稚園が始まる3歳を目途に開始しても遅くないと思います。
したがって、習い事を始める年齢については、何の習い事を、どんな目的をもって始めるかを考えたうえで、判断することが大切です。
Q. おすすめの通いはじめの年齢に男女差はある?

習い事を開始する年齢についての男女差も、一概に言うことは困難です。ただ、低年齢で始める習い事については、おおよそ男女差を考えなくても問題ないと思います。たとえば、音楽系の習い事をさせる際には男女差はなく、むしろ技術的なことを考えると、低年齢で習い事を開始したほうが良いと思います。
しかし、小学校高学年以降の習い事に関しては、体格や考え方、習い事の種類によって差が生じてくるため、習い事の開始年齢に男女差は出てくると思います。
Q. 適齢期であっても、実際にそのタイミングではじめたほうが良いかは子どもの性格にもよる?

習い事を開始するタイミングは、子どもの性格も影響します。
性格とは、飽きやすいのかどうか、努力することが苦痛なのかどうか、競争心の有無など、生まれ持った先天的なものと、育ってきた家庭環境といった後天的なものが加味されて形成されます。したがって、習い事の種類によっては性格のみならず、適応があるかないか、子ども自身が習い事を好きか嫌いかという要因もあるため、一概に適齢期になれば開始すれば良いというものではありません。
また、子ども自身の問題以外に、きょうだいがいるかいないかなどの家庭環境、家庭の経済状況も習い事を開始するタイミングの付加的要素として存在します。このため、一概に適齢期で習い事を開始すると良いとは言い切れません。子ども本人と家族が同じ方向を向いたときが、習い事を開始するタイミングといえると思います。
Q. 習い事は何歳まで続けさせるべき?

習い事を辞めるタイミングとしては、子どもが楽しく習い事に行けているか、続ける気があるかないかなどが辞めるタイミングを判断する時期だと思います。低年齢ではある程度、いろいろな習い事を経験させ、子どもの適応を見極める必要があるため、半年から1年間ほど様子をみても差し支えないと思います。子どもが自主的に習い事に行きたいか行きたくないかを判断の目安にしても良いでしょう。
また、「好きこそものの上手なれ」というように、好きで習い事を継続し、延長線上に手に職となったという人も多数います。習い事の辞めるタイミングは人それぞれ異なるため、一概に何歳まで続けるべきかと決めることは困難でしょう。
お子さまの未来の道をママが切り開きましょう
習い事に通わせる際には、ママの準備や情報収集、子どもの様子観察などが重要です。子どもの将来のためにも、慎重に習い事を探しましょう。また、竹綱先生の話にもあったとおり、習い事が子どもに合っているかどうかはすぐには判断できません。
効果が出ないからとすぐにあきらめてしまうのではなく、どんな習い事が適しているのか、時間をかけて一緒に探してあげることが子どもたちの将来を切り開いていくことにつながるでしょう。
調査概要
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