• No.37 磁石

    25/09/25 00:46:33

    『昼夜の巻』

    ――源氏物語ふう抄録

    ある市に、声高き誉を負ひたる長(おさ)ありけり。
    人は才を讃へ、貌のあてやかなるを仰ぎつつ、政(まつりごと)の務めに心寄せたり。
    されどその内には、秘めたる思ひの炎、消えがたく燃えゐたりける。

    昼も、夜も、さらには節のとき――お盆の頃さへ、
    女は人目を忍び、契りを重ねしとかや。
    宿の扉は、世のつねびとの行き交ふ道に近けれど、
    その中に交はす言葉は、ただ二人のみぞ知る。

    されば、うつし世の人々は「なにごとか」と囁き合ひ、
    清き名も、たちまち霞に紛るるさまを、
    まるで春の花の、風に散り急ぐを見守るごとく思へり。

    ――かくて世の人は言ふ。
    「御世にも、かかる逢瀬の尽きざりしを。
    けに人の心は、時を超えてあだなるものよ」と。

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返信コメント

  • No.38 ダイヤモンド(0.2カラット)

    25/09/25 01:00:05

    >>37
    才能の無駄遣い
    貴女がw

1件~1件 ( 全1件)

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