「痩せる油」は幻想? ココナッツオイル、MCTオイル……栄養士が「ダイエット効果の真偽」解説

配信 : サイゾーウーマン
18/09/17 16:00

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 一時期、ミランダ・カーや、アンジェリーナ・ジョリーなどの海外セレブ、また日本でもローラや道端ジェシカ、吉川ひなのなどの芸能人が愛用して世間の注目を集め、今や“健康食材”として認知されているココナッツオイル。エネルギー源になりやすいため太りにくく、ダイエット効果や美容効果があるといわれ、コーヒーなどの飲み物に入れたり、ドレッシングや炒め物に使ったりなど、さまざまな方法で摂取されている。

 しかし先日、そのココナッツオイルについて、ハーバード大学で疫学の教授を務めるカリン・ミッシェル氏が、「ココナッツオイルは純粋な毒である」と発言。大きな話題を呼んだ。

 さらに、カリン氏は「ココナッツオイルについて警告すべきことがあります。ココナッツオイルはあなたが食べることのできる最悪の食べ物の1つです」とまで語っており、アメリカ心臓協会も「ココナッツオイルには宣伝されているような効果は存在しない」「心血管疾患の原因となるLDL(悪玉)コレステロールを増加させる可能性がある」と指摘したという。

 それを受け、ネットでは「体に良いんじゃなかったっけ?」「ダイエットのために摂ってたんだけど、まさか逆効果だった?」「もう何を信じればいいかわからない……」と困惑の声が多く上がっている。

 ほかにも、「オリーブオイル」「アマニ油」などの油も、「飲むとダイエットに効果的」だといわれているが、果たしてそれは本当なのだろうか? この世に“痩せる油”は存在するのだろうか? そんな疑問を解消すべく、今回、All Aboutの実践栄養ガイドである、管理栄養士・博士(栄養学)の平井千里氏にお話を伺った。



 ココナッツオイルとは、名前の通りココナッツから抽出精製されたアブラである。油脂類は“飽和脂肪酸”が豊富な常温で固体の脂(バター、ラード、牛脂など)と、 “不飽和脂肪酸”の多い常温で液体の油(魚類やオリーブオイルなど)に大きく分類される。ココナッツオイルは常温で固体であり、“飽和脂肪酸”が豊富なアブラある。

「飽和脂肪酸は、普段の食事で十分に摂取できるので、自ら積極的に摂らなくても不足しないことが多いです。むしろ、コーヒーに入れて飲むなどの過剰摂取してしまうと、アメリカ心臓協会が指摘したように『心血管疾患の原因となるLDL(悪玉)コレステロールを増加させる』ことになり得ます。つまり、ココナッツオイルも過剰摂取は禁物。“毒”はさすがに言いすぎだと思いますが、そう指摘する気持ちはわからなくもないですね」

 ココナッツオイルは、飽和脂肪酸の中でも、体脂肪として蓄積されづらく、エネルギー源になりやすいとされる“中鎖(ちゅうさ)脂肪酸”を多く含んでいるとのこと。それによって、世間では「ココナッツオイルは太りにくい=ダイエット」と認識されてしまったようだ。

 “毒”とまでいわれてしまったココナッツオイルだが、これからは摂取を控えた方がよいのだろうか? 平井氏は、「あくまで“過剰摂取”がよくないというだけで、普通に摂る分には問題ない」と語る。

「毎日コーヒーに入れたり、食べ物に混ぜたりという過剰摂取をしなければ、ココナッツオイルは悪いものではありません。LDL(悪玉)コレステロール自体、細胞にエネルギーを届けてくれているものなので、必要といえば必要なんです。多すぎたらいけない、というだけ。ココナッツオイルに関して、あまりに根拠のない話が広まっているから、ハーバード大学のカリン教授は、あえて“毒”という表現をして、世間に警鐘を鳴らしたのだと思いますよ」



 ネットではほかにも、「オリーブオイル」「アマニ油」「MCTオイル」がダイエットに効果的だといわれているが、平井氏は、「『体重が落ちること』がダイエットという意味ならば、どの油でも無理です」と言い切る。

「オリーブオイルは、不足しやすい”不飽和脂肪酸“を多く含む油です。アマニ油も不飽和脂肪酸を多く含みますが、こちらは“多価不飽和脂肪酸”で、体内に入ったあと、代謝されてEPA、DHAとなります。しかし、どちらも“9キロカロリー/g”のエネルギーを持っていることは間違いありません。つまり、痩せるわけではないんです」

 さらに、ヤシ科植物の種子核に含まれる天然成分である「MCTオイル」については、「病院では主に、“痩せたくない人”にMCTオイルを使います」とのこと。

「ココナッツオイルの中鎖脂肪酸は15%程度ですが、MCTオイルは100%。MCTオイルは特に、エネルギーの変換効率が良いので、腎臓が悪くてたんぱく質を制限されるなど、糖分か脂質でエネルギーを摂らないといけない人の食事に混ぜるんです。つまり、痩せないようにするために使われている。ということは、ダイエット効果があるわけがありませんよね」

 “油”である以上、カロリーがある。当たり前と言ってしまえばそれまでだが、「油を飲んで楽して痩せられる」はやはり、幻想だったようだ。



 また、平井氏は、「油は良くない」と一切摂らなくなることも、また危ないのだと語る。

「油は腸の滑りを良くするので、便秘改善に役立ちます。油にカロリーがあるからと言って、一切摂らなくなると、便秘など、ほかの健康を害してしまう可能性があるんです。『油を飲んでいたら痩せた』という経験がある方は、もしかしたら『便秘が解消した』ため、結果的に体重が落ちたのかもしれませんね」

 とはいえ、自分の食生活が自分の体にどのような影響を及ぼしているのか、全てを自分で把握することは容易ではない。自分ではわからない場合、「保健所の行政栄養士に相談をするのも手」だと、最後に平井氏は教えてくれた。

 油に関しては、摂りすぎも、摂らなさすぎも、体に良いとは言えない。ネット上には「ココナッツオイルは良い」とする記事も「悪い」とする記事も存在するが、何も考えずにそれを受け取るのではなく、「この情報は本当に正しいのか?」という冷静な視点を持ち、情報の取捨選択を心がけることが必要だろう。摂り方次第で“毒”にも“薬”にもなる食材が世に溢れる時代だからこそ、表面の文章だけを鵜呑みにせず、正しい情報を見極める力をつけていきたい。
(文・取材:ヨコシマリンコ)

取材協力:平井千里(ひらい・ちさと)
All About「実践栄養ガイド」
メタボ研究の最前線を知り、本物のダイエットを教える病院管理栄養士。女子栄養大学大学院(博士課程)修了。名古屋女子大学 助手、一宮女子短期大学 専任講師を経て大学院へ進学。「メタボリックシンドロームと遺伝子多型」について研究。博士課程終了後、介護療養型病院を経て、現職では病院栄養士業務全般と糖尿病患者の栄養相談を行う傍ら、メタボリックシンドロームの対処方法を発信。


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