「産まないという選択肢はなかった」W不倫12年、“彼”との子どもを育てる女の決意

配信 : サイゾーウーマン
18/03/14 21:00

 20年近く不倫の取材をしてきたが、このところ「長期不倫」の話を本当によく聞く。短くて8年、あとは12〜15年くらいが多い。W不倫の女性にとっては、案外、合理的な関係ではないかと思う半面、独身の場合は「子どもがほしい」「結婚したい」気持ちにどうやって折り合いをつけているのかが気になる。長期不倫の女たちの声を全7回で聞いていく。

(第1回:「出産リミットが見えて焦りが」長期不倫8年目、結婚と出産願望で揺れる38歳の岐路
(第2回:「40歳を迎えてラクになった」19歳から10年不倫を繰り返した女の、結婚・出産願望

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 既婚女性の中には不倫相手の子を産んでしまう女性が少なからずいると、産婦人科医から聞いたことがある。リカさん(46歳)もその1人だ。

 29歳のとき、社内恋愛で同い年の男性と結婚。すぐ一男に恵まれた。仕事を続けながら、32歳で女の子を出産。

「大変だったけど夫と協力しながら育ててきました。部署は違うけど夫と同じ会社だったからお互いにスケジュール管理しやすかったですね」

 ときには両方の両親やきょうだいまで動員しての子育てだった。みんなで賑やかに育てたいというのがリカさんの思いだったから、夫や自分の友だちもよく家にやってきて、知らない間に子どもたちと仲良くなっていることもあったという。

「下の子が2歳のときですね、彼と知り合ったのは」

 その“彼”、ダイキさんは夫の学生時代の後輩で、就職してからいろいろな地域に転勤、当時、本社に戻ってきていた。

「『先輩、お久しぶりです』ってやって来たダイキを見たとき、知らない人なのになんだか懐かしいような気持ちになったんですよね。ダイキは私たちの結婚式のときも仕事で来られなかったんですが、夫が学生時代にかわいがっていた後輩だということは聞いていました。それにしても、あの懐かしい気持ちはなんだったのか……」

 あとから聞けば、ダイキさんも似たような気分になっていたのだという。

?何度も顔を合わせるうちに

 それからダイキさんは、たびたびリカさん宅を訪れるようになった。当時、リカさんが34歳、ダイキさんは30歳で独身だった。

「しばらくして、ダイキが結婚することになって。これからは家族ぐるみで付き合えるねって話していたんですが、結婚直前、ダイキに呼び出されたんです。折り入って相談がある、先輩には内緒にしてほしいって。ただごとではない感じがしたので、ダイキに会いに行きました」

 指定されたのはシティホテルの部屋。誰にも聞かれたくないからという理由だった。

「部屋に入ったら、いきなりダイキが抱きついてきたんです。それでも私は姉のような感覚で、『どうしたの、何があったの』と彼の髪を撫でていました。そこで彼が言ったのは、ずっと私のことが好きだった、と。このままでは結婚できない、一度だけ思いを遂げさせてほしい、このことは墓場まで持っていくからって、号泣するんです。普段だったら、何言ってるのよってかわすところですが、あのときのダイキは見ていられなかった。つい、気が緩んだんですよね……」



 ダイキさんの全身全霊を込めた告白に、リカさんの心が揺れた。一度だけという約束で、2人は抱き合った。

「ダイキの情熱があまりにすごかったのと、その日はおそらく妊娠しづらいということもあったんです。でも帰り際、なんだか嫌な予感がしました」

 ダイキさんの結婚式は無事終わったが、リカさんは結局、その1回で妊娠してしまった。夫ともたまにはしていたので、確実にダイキさんの子とは言い切れなかったものの、帰り際のあの体の感覚からすれば、「おそらくダイキの子」だと思ったそうだ。

 「産まないという選択肢はなかった。ダイキの子であっても育てたい。そう思っていました。もちろんダイキに言うつもりはありませんでした」

 リカさんに迷いはなかった。授かった命を無事に世の中に出したいと心から思った。

「3人目ができたと言ったら、夫は大喜び。ますますみんなの手を煩わせるかもしれないけどって、親やきょうだいたちに連絡していました」

?産まれた瞬間、確信した

 リカさんが妊娠したという話はダイキさんにも伝わった。ダイキさんは結婚後も、時々妻を伴ってリカさん宅に来ていたが、2人の関係が怪しまれるような言動は一切とらなかった。

「ただ、私が6カ月目に入ったくらいかな。遊びに来たダイキが、キッチンで料理をしていた私を手伝おうとそばに来て、『リカさん……あの』と言ったんです。私はあえて『ダイキのところも早く子どもができるといいね』と大きな声で言いました。ダイキは私を気遣うような目で見たけど、それきり何も言えなくなって。ひょっとしたら自分の子かもしれないと思っていたのかもしれませんね」
 月満ち足りて、リカさんは出産。産まれてすぐ子どもの顔を見た瞬間、ダイキさんの子だと確信したという。

「女の子だったんですが、目鼻立ちがダイキに生き写しで。でも、周りはみんな『おとうさんにそっくり』って。夫もデレデレになっていました。そのとき初めて、私がしたことは正しかったのか、と疑問を抱きましたね」

 ただ、不思議と夫への罪悪感はあまりなかった。

「夫個人への罪悪感ではなく、なんというのか、お天道様に申し訳ないというか」

 そんな古臭い言い方をリカさんはした。もっと大きな「何か」、もし神がいるのなら「神様、ごめんなさい」というような感覚らしい。しかしリカさんの倫理観でいえば、あのとき堕胎していたら、罪の意識はもっと大きかっただろう。

「産むと決めたのは自分ですから、こうなったら、それこそ墓場までもっていくしかない。私の子として大事に育てようと覚悟しました」

 その後、ダイキさんにも子どもが産まれた。リカさんの末っ子が3歳になったとき、彼女はまたダイキさんに呼び出された。ダイキさんが転勤になったのだ。

「このときは喫茶店で会いました。ダイキ一家とうちは親戚といってもいいくらいの付き合いで、家も近かったしダイキの奥さんもかわいい人で。もう2人きりの関係はあり得ないと思っていた。ところがダイキは、『リカさんのことが忘れられない。つらい』って。奥さんもいい人だし、日常に不満はないんだけど、私を思うと胸が締めつけられるんだ、と。そんなこと言われても困りますよね。だけどそこが私のダメなところで……」

 押しに弱いのか、その日もまた、リカさんはダイキさんとホテルへ行ってしまう。2人の関係が復活してしまったのだ。一夜限りのはずだったのに……。実はリカさん自身、ダイキさんのことが忘れられなかったことに、ようやく気づいたのだった。

 ダイキさんが転勤する直前、2人は関係を復活させた。そしてそれ以来、年に数回、会っていた。

「3年前、ダイキがまた東京に戻ってきて……。ダイキにも2人の子がいます。お互い40代でいい大人なのに、思い切れないでいる。あのとき、私が自分の気持ちを見て見ぬ振りをしていれば、ダイキとの二度目はなかった。そうすれば今もなかったはず。だけど、私自身、ダイキのことが好きだったんですよね。そこには蓋ができなかった」

 フウッと大きなため息をついて、リカさんは「他人にウソはつけても、自分の気持ちにだけはウソをつけないですね。それが、私のいけないところなんでしょうけど」と自嘲気味に言った。

 あの日から数えて、断続的ではあるが2人の関係は12年になった。リカさんの次女、ダイキさんとの子ももうじき中学生だ。

「ダイキは、うちの子をまんべんなくかわいがっていますが、次女を見る目はちょっと違うのかなあ。それは私の偏見かもしれませんが。彼とは次女のことはまったく話していません。どんなに聞いても私が決して明かさないことを、彼もわかっているんだと思う」

 月に一度の頻度で、リカさんはダイキさんとゆっくりホテルで過ごす。ラブホテルではなく、ごく普通のホテルを使い、リカさんだけ泊まっていくこともあるという。

「まれにですけどね。私、もともとホテル好きなんですよ。それを知っている夫が、『ストレスたまったら、ホテル暮らししてきていいよ』と言ってくれて。1泊ですけど、ホテルに泊まるとリフレッシュできる。そのとき、ダイキに忍び込んできてもらうという感じですね。ダブルの部屋をとるからホテルに悪いことはしていませんよ」

 食事はルームサービス、ほとんど外に出ずに2人だけの時間を楽しむ。そして次の週末、ダイキ一家がリカさん宅に遊びにくることも。

「不思議なんですよね。ダイキと2人でいると、今も恋愛感情がいっぱいなのに、ダイキが家族連れでうちに来ると、私はダイキを弟みたいに扱ってる。その切り替えが難しいと思ったことがないんです。自然に切り替えられている。2人で会うときのダイキと、うちに遊びに来るダイキは別だと、頭が認識しているのかもしれません」

 オンナは生まれついての女優である。状況に応じて自分を変え、ごく自然に振る舞うことができるのだ。

「この先? どうなるんでしょうね。よく“不倫”って、背徳感があるから余計に燃えるというでしょう? 私にはそういう感覚があまりないんです。ダイキのことが好き。だから会ってる。でも私の本分は、会社員であり子どもたちの母であり、夫にとっての妻である。それだけなんですよね。『本当はダイキと一緒になるのが運命だった』みたいなストーリーも私の中にはないし、もっとシンプルに捉えていますね。妙な“物語”を作ると、自分の中で処理しきれなくなると思っているのかもしれない。そもそも、これを“恋”と名づけていいかどうかもわからない。既婚者がそんなこと言うのはおこがましいんじゃないかという思いがあります」

 誰に対してもオープンで明るいリカさんだが、実は非常に冷静な目で自分を、周囲を、見つめているのだ。それでも「ダイキに会うことはやめられない。今は」と目力のこもった表情できっぱりと言った。

亀山早苗(かめやま・さなえ)
1960年東京生まれ。明治大学文学部卒。不倫、結婚、離婚、性をテーマに取材を続けるフリーライター。「All About恋愛・結婚」にて専門家として恋愛コラムを連載中。近著に『アラフォーの傷跡 女40歳の迷い道』(鹿砦社)『人はなぜ不倫をするのか』(SBクリエティブ)ほか、多数。


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