「おかんは産むだけ」押しつけられた育児 【中】3歳児を死なせた8人家族に起きたこと

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    • 宇喜多秀家
      20/10/29 20:05:33

     ▽歯がぼろぼろの子供たち

     子供らが部屋から出ないよう監視役もさせられた。毎日買い物に行くスーパーやコンビニでの引率も、ゆり被告の役割。雷斗ちゃんと双子の兄がうろうろしないように左右で手をつなぎ、右手にはさらに1歳下の末弟の手もつなぎ留めて歩かなくてはいけなかった。

     掃除は苦手だったといい、家の中は散らかり放題で、台所も物が積まれていた。近所の人によると、一家にはピザや店屋物の配達がよく来ていた。母親は子供らに頻繁にジュースを買い与えた。歯磨きの習慣もなく、事件後に保護された子らの歯はぼろぼろ。捜査員は当初、親の暴力を疑ったほどだったという。

     家では犬や猫、フェレットなどの動物をたくさん飼っていた。母親がペットショップで買ってきては途中で飼育放棄し、死なせていた。その数は12~13匹。最初はかわいがるが、すぐに飽きて「くさい」「ほえてうるさい」と言って遠ざける。散歩もさせずケージに入れっぱなし、冬場でもベランダに出しっぱなし。家の中で捨てられた犬たちを、ゆり被告がこっそり世話していた。

     ゆり被告に自由に使えるお金はなく、犬たちのご飯代やワクチン代に充てるため「(弟らの)おむつ替えてくれたら10円あげる」といった指示に従い続けた。ただ動物の世話は、ゆり被告にとって唯一の慰め。手紙には「たいへんだけど、苦ではなかった。この子達が居たからゆりはあの家でがんばることができたのかも」と記した。

     ▽「おびえながら」

     1歳年下の長男は、知的障害が重かった。じっとしていられず家を飛び出す。路上の自転車のかごから手当たり次第に物を盗んだ。自宅の上階ベランダからは、たばこの吸い殻を路上に投げた。注意した近所の男性をいきなり殴りつけたこともあった。警察沙汰はしょっちゅうで、警察署では有名だったらしい。

     長男は普段、父親が監督していたが、仕事で日中は対応できない。昼間に失踪すると、両親は「ゆり、探してこい。見つけるまで帰ってくるな」「あいつがいらんことしたらおまえのせいや」と言って追い込んだ。
     いつも夕方、家に帰ってくる父親はゆり被告にとって恐怖の存在だった。機嫌が悪いとバットで殴ったり蹴ったり。「この家にいらんことをするやつは出て行け」とどやしつけた。一家は長男の行動に振り回され、長男が何かやらかすと不穏な空気が漂う。ゆり被告はそんな毎日を「おびえながら暮らしてた」と表現した。

     雷斗ちゃんが不審死した際、捜査員はドアノブが取り外されていた3階の4畳半の洋室に入り、長男を発見した。ドアには錠が取り付けられ、室内から解錠できなかった。電気も取り外され、汚臭に満ちた部屋にはバケツが2個並べられ、汚物が入っていた。長男は閉じ込められた状態で生活し、バケツで用を足していた。ゆり被告はこのバケツの交換もしていた。

     大阪府警は雷斗ちゃんの事件でゆり被告を逮捕してから2カ月後、長男を自宅の部屋に閉じ込めたとして、監禁罪で両親も逮捕した。父親は「(長男が)口ごたえをしてきたので、顔を2~3発殴って部屋に閉じ込めていた」「自由にさせたら外でむちゃくちゃする」と供述。母親も閉じ込めていたことを認め「夫と相談して決めた。監禁しないと外で悪さをするし、夫も仕事どころではなくなるので、仕方なかった」と話した。 ただ食事は毎日与えられており、外に出られる時間もあったようだ。犯罪の疑いは残るが起訴するには至らないとして、二人は起訴猶予で釈放された。

    続く

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