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- せりな
- 17/01/17 09:56:15
ベトナムを訪れている安倍総理大臣は、日本時間の16日夕方、グエン・スアン・フック首相と会談し、海洋進出を強めている中国を念頭に、航行の自由や法の支配の重要性を確認し、海洋分野での協力を強化するため、新造の巡視船6隻を供与することを伝えました。
ベトナムを訪れている安倍総理大臣は、指導部のメンバー4人と相次いで会談し、日本時間の午後5時ごろから、グエン・スアン・フック首相とおよそ1時間半会談しました。
この中で両首脳は、南シナ海での領有権をめぐり、ベトナムと対立し、海洋進出を強めている中国を念頭に、航行や上空飛行の自由、それに法の支配や紛争の平和的解決の重要性などを確認し、安倍総理大臣は、海洋分野での安全保障や防衛協力を一層強化するため、新造の巡視船6隻を供与することを伝えました。
また、安倍総理大臣は、質の高いインフラ整備などに、およそ1200億円に上る経済協力を新たに決定したことを伝えたほか、日本企業が受注した原子力発電所の建設計画の中止を決定したのは残念だとしたうえで、それに代わるエネルギー開発で引き続き協力していく考えを示しました。
そして、両首脳は、TPP=環太平洋パートナーシップ協定の発効とともに、RCEP=東アジア地域包括的経済連携について、高い水準での早期妥結に向け、協力していくことを確認しました。また、両首脳は、アジア太平洋地域の平和と安定に果たすアメリカの存在は不可欠だとして、今月20日に就任するトランプ次期大統領に対し、アジアの政治や安全保障の状況を説明し、TPP協定やアジアの経済がもたらす利益について、トランプ氏の理解を得ることが重要だという認識で一致しました。さらに、核実験やミサイルの発射を繰り返す北朝鮮への対応について、安全保障上の脅威は新たな段階に入っているとして、国交のあるベトナムとともに圧力をかけていくことで一致しました。さらに両首脳は、ベトナムがことし議長国を務めるAPEC=アジア太平洋経済協力会議の首脳会議の成功に向けて、協力していくことを確認しました。
両首脳は、会談終了後、共同記者発表を行い、安倍総理大臣は「日本とベトナムの協力を強化し、広範な戦略的パートナーシップをさらに深化させることで一致した。南シナ海問題については、関係国間の対話を歓迎するとともに、対話は国際法に基づき行われるべきだ」と述べました。また、フック首相は「ハイレベルの対話を通じて、信頼関係を強化していくことで一致した。日本は、ベトナムの永久的かつ最も重要なパートナーだ」と述べました。
■南シナ海めぐるベトナムの立場は
ベトナムは、南シナ海の南沙(スプラトリー)諸島と西沙(パラセル)諸島について領有権を主張し、中国と対立してきました。
3年前には、西沙諸島近くの海域に中国が海底油田の掘削装置を設置し、これをきっかけに撤去を求めるベトナムの船と中国の船が衝突するなど、対立が先鋭化し、ベトナム各地で中国に抗議するデモが広がり、死傷者も出る事態となりました。
その後、デモは収束したものの、ベトナム政府は、南シナ海で中国が人工島を造成し、滑走路やレーダー施設を建設するなど、海洋進出の動きを活発化させていることに警戒感を強めています。
ベトナム政府は、南シナ海の問題は国際法に基づき、平和的な手段で解決するべきだと主張しています。
一方でベトナムは、政治的、経済的に中国との結びつきが強く、去年7月に国際的な仲裁裁判が南シナ海をめぐる中国の主張を否定する判断を出したあとも2国間の対話を続けています。
今月12日に最高指導者のチョン共産党書記長が北京を訪問して、習近平国家主席と会談した際にも、「中国と一緒に海上での協力を強化し、拡大することを望む」と述べ、中国との関係改善に応じる姿勢も見せています。
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